研究課題/領域番号 |
17K04336
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研究機関 | 公益財団法人大原記念労働科学研究所 |
研究代表者 |
北島 洋樹 公益財団法人大原記念労働科学研究所, 研究部, 主任研究員 (20234255)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ヒューマンエラー / 動作スリップ / 行動と環境 / 安全知識 |
研究実績の概要 |
従来からの製品事故、今後の課題として指摘されている自動運転中の突発事故への対応場面などを背景に、マン-マシンインターフェースと人間行動との関係性にあらためて注目が集まっている。本研究の目的は、ヒューマンエラーが生じる背景要因を整理し、またヒューマンエラー発生の瞬間とその前後の状況を画像データとして収集し分析することで、ヒューマンエラーの発生機序の解明することである。 本年度は、ヒューマンエラー誘発状況の整理のため、研究協力者と共に学生を対象とした安全に関する知識、安全意識および「ヒヤリ・ハット」体験に関する質問紙調査を昨年度から継続して行い、ヒューマンエラー発生の条件について検討した。また、同じくヒューマンエラーの背景要因を精査し、実験的にヒューマンエラーを発生させやすい条件を検討するために、過去文献(狩野広之著、不注意物語)に記載された75事例をデータ化し、行動分析学的視点より新たな分析を行った。 本年度に購入予定としていた画像データ収集システム用のパソコンを購入し、ヒューマンエラーの発生の瞬間をとらえるための画像記録技術の検討を行った。 上記、質問紙調査の結果として、ヒューマンエラーの背景要因の一つである安全に関する知識の実態についてまとめた論文を学術誌に投稿し、採択された。 また、本研究の前身研究(JSPS科研費20530584)の成果であるが、ヒューマンエラーの1つである「スリップ」が高確率で生じる状況について既存データを元に、新たに考察を加えた論文を学術誌に投稿し採択された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ヒューマンエラーが生じる瞬間を記録することが本研究の最大目標であるが、そのためには実験的にヒューマンエラーが発生しやす状況を整えることが重要である。ヒューマンエラーの1つである「動作スリップ」については高い確率で実験的に発生させられることが確認できているが、その他のヒューマンエラーについてはこのような条件が確定していない。そのため本年は「動作スリップ」以外のヒューマンエラーの発生要因、背景要因の精査に重点があった。対象者の安全知識や過去のヒヤリハット体験も重要な要因であることが分かってきた。結果として再現実験を本格的に実施するまでには至らず、全体としてはやや遅れ気味となっている。
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今後の研究の推進方策 |
研究協力者と共に、2018年度までのヒヤリ・ハット」体験の分析、事例分析の結果を元に、ヒューマンエラー発生実験を進める。実験プログラムを検討し小規模実験で確認しながら、本実験を実施する。 「動作スリップ」以外のヒューマンエラー発生条件を確定すべく、「ヒヤリ・ハット」体験調査、過去事例研究も進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度は実験条件の確定のための既存データの分析、調査が中心となったため、実験実施に係る費用が予定よりも少なくなった。研究打合せ等の旅費が少ないのは、メール会議の活用などで打合せ回数が予定より少なかったことによる。 令和元年度には、2018年度の成果を基に進捗の遅れを回復して実験実施予定のため、これらの未使用分は消化される予定である。
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