研究課題/領域番号 |
17K04338
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
加藤 道代 東北大学, 教育学研究科, 教授 (60312526)
|
研究分担者 |
黒澤 泰 茨城キリスト教大学, 生活科学部, 講師 (00723694)
神谷 哲司 東北大学, 教育学研究科, 准教授 (60352548)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | コペアレンティング / 夫婦ペアレンティング調整 / 思春期子育て / 幼児期子育て / 家族システム / 父親による子どもへの関与 |
研究実績の概要 |
本年度は、幼児期と思春期の子育てにおけるコペアレンティングについて以下の成果発表を行った。 ①幼児期の母親による批判に対して父親は,父親関与への要求と子育ての考え方の違いから直接間接に生じると認知し、我慢,譲歩しつつも「頑張ってるつもり」「自分なりにやっている」と感じていた。子どもの発達過程の困難は成長によって解消されるが、頻回に語られたのは「子どもがお母さんじゃないとダメ(だから関与できない)」点であった。母親回答の結果(加藤・神谷,2017)では,母親は「父親が自ら気づいて」「家事と育児を総合して」「やれる方がやる」ことを望んでおり,「父親だけが楽をするとイラっとする」が、「母親でなければダメなのは仕方ない」と思っている。“父親関与”に向けて,互いに気づかないズレや伝わりにくいメッセージにより,双方ともに当面の譲歩や我慢が蓄積することが懸念された。 ②母による促進は、父から子への関わりを調整する仲介となっていた。(ⅰ)父→子の関わりについて母は子に嬉しさを伝える (ⅱ)父が子に関わると、子のポジティブな反応を父に伝える (ⅲ)父への要求を父に聞こえる様に子に向けて伝える (ⅳ)(母とではなく)父と遊びたがるように子に話す等の行動が、父へのサポートティブなコペアレンティングとなり父子関係が促進されると母は感じていた。 ③思春期の子育てにおいても、母親は父親に対して調整行動を行っていた。父親は、「思春期の子どもと距離が遠くなる中、母親と子どもはケンカも含めて距離が近く、特に同性の母娘の場合は父親の入る余地がない」と感じている。父子関係について母親からの批判を受けると、父親が我慢・譲歩をするのは幼児期と変わらないが、思春期の子どもを「個」としてとらえることで父子関係に距離が生じる中,母親から父親への批判が加わると、父子間,父母間の距離はさらに拡大することがうかがわれた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度は、幼児期の子育てについて、①母親による批判に関する母親回答(日本心理学会)、②母親による促進に関する父親回答(東北心理学会)、思春期の子育てについて、③母親批判に関する父親回答(発達心理学会)をまとめ、ほぼ当初の計画どおり進行した。最終的に、学会発表は国際学会1件、国内学会が5件、関連テーマに関する学会公募シンポジウムにおける指定討論の依頼が1件の成果報告を行った。
|
今後の研究の推進方策 |
平成31年度(令和元年度)は、本研究についての申請最終年度となる。研究進行としては順調であり、最終的なまとめに入っていくが、成果報告を予定していた学会開催日程が、本務校の学事および学内任務と重なっており、複数の主要学会に参加できないことがわかった。このため、成果発表の場が限られることが現時点で予想される。研究進行とまとめを進めながら、その成果報告については次年度に延長することも視野に入れなければならない。
|
次年度使用額が生じた理由 |
成果報告のための学会出張分に関して、学会開催地が本務地であったため、旅費と宿泊費その他の経費が必要ではなくなった。研究の進行は順調であり、適正に使用した結果の余剰額であるため問題はない。
|