研究課題/領域番号 |
17K04345
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
岡田 努 金沢大学, 人間科学系, 教授 (10233339)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 現代青年 / 友人関係 |
研究実績の概要 |
2017年度までに採集した大学生データに基づいて分析を進め,日本心理学会第82回大会において「現代青年の心理的脆弱性の構造に関する検討:ふれ合い恐怖的心性およびランチメイト症候群傾向を中心にして」と題する研究発表を行った。その結果,ふれ合い恐怖的心性の「対人退却」が「心情的に近い他者」場面と,「関係調整不全」が「公的」および「心情的に遠い他者」場面で相関関係が見られたことから,先行研究と同様,「ふれ合い恐怖」の中核は近い他者との場面での不安であることが示された。またふれ合い恐怖的な青年は自己意識が低く,他者の視線からもまた自己への内省からも退却したところで安定をはかるというこれまでの考察を裏付ける結果となった。 また2019年度ヨーロッパ発達心理学会においてNarcissistic personality and personality traits among Japanese adolescents.と題する研究発表を予定している。この研究では自己愛傾向とパーソナリティの5因子との関連について検討を行う予定である。 また2017年度までのデータはもっぱら学生のデータであったことから,これと有職青年との比較を行うため,学生ではない有職者青年層について調査を実施した。項目は2017年度の学生対象と同様に,対人不安の場面に関する尺度,パーソナリティ5因子特性,ふれあい恐怖的心性,自己意識特性,自己愛,共感性,ランチメイト症候群傾向の各尺度であった。調査は日本国内の全国都道府県から741名の有職青年に対してインターネットモニター調査によって実施された。これらについても,今後,学生データとの相違点,共通点について検討を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
青年期の問題を全般的に明らかにするため,有職青年に対する調査を先行させた点では当初の研究計画と,データ採取の順序を入れ替えたものの,順調に予定している尺度項目によるデータ採取が進んでいる。またそれらの結果について,毎年学会において発表を行っているため,おおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
2018年度に採取したデータに基づいて,有職青年のパーソナリティ傾向と自己愛およびふれあい恐怖的心性の関連について分析を進める。これによって従来学生についてのみの知見であった青年期の心理的脆弱性の問題が,有職青年においても共通して見出されるものであるかどうかについて,明らかにすることができる。こうした研究はこれまでほとんどなされてきておらず,日本の青年期研究において画期的なデータとなると考えられる。 また外在型の特徴を持つと考えられる「気遣い・群れ」「多元的自己」「誇大型自己愛パーソナリティ」「仮想的有能感」の傾向を持つ大学生に焦点を当て,これらのモデル内での位置づけを検証するため,新たに上記の尺度項目を用いた質問紙調査を実施する。 調査は国内大学生について,インターネットモニター調査を実施する。 なお,当初の研究計画においては,上記平成31年度に予定する調査の後,有職青年に対する調査を実施する予定となっていたが,青年期の基本的な対人関係の問題について,全体的な傾向を明らかにする必要から,有職青年への調査を先行させた後,上記のさらに新たな尺度項目による研究を行うこととした。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費,旅費等の価格の変動により生じた誤差の金額である。次年度の経費に組み込み,物品費および旅費等において適切に使用する予定である。
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