研究実績の概要 |
【目的】動作画像の模倣における視覚的処理について実験を行った。Catmur and Heyes(2017)は,提示する動作画像のタイプにより実行までのReaction Timeが異なることを報告した。行為の意図が明瞭な動作画像は,その模倣を実行するまでのReaction Timeが短く,意図が不明瞭な画像は潜時が長くなるのである。しかしながら,使用された画像は双方ともに意図が不明瞭であることが推測された。そこで行為の意図の有無がより明瞭な画像を用いると同時に,画像の行為を捉える視点の違いの影響を明らかにすることとした。 【方法】対象:検査によって右利きが確認された大学生20名である。材料:木材を加工して,自立する天秤のような土台を作った。天秤棒のような箇所の左右に黒色のビニールテープを引っ掛けるように差し入れた。これを参加者の眼前に置いた。この天秤状の材料を基にして,画像の作成と加工を行った。Meaningについて、行為の意図が明瞭なmeaningfulと不明瞭なmeaninglessである。Perspectiveは、自らの視点と画像の視点が一致していないother,双方の視点が一致しているself,どの方向の視点とも関連しないsymbolである。参加者の手元にボタンスイッチ,その奥に天秤状の材料を配置した。実験開始前,ボタンスイッチの上に手を置かせた。まず,Starting pictureを500ms提示した。次に,1500msのブランクを設定した。ブランクの間,ディスプレイ画面は黒となる。条件別の画像が1000ms提示されてから,それを手掛かりに操作を実行させた 【結果と考察】参加者内配置の分散分析を行った。Meaningの主効果は,F(1,18)= 0.2056, p = 0.6556, η2 = 0.0113であった。Perspectiveの主効果は,F(2,36)= 2.2607, p = 0.1189, η2 = 0.0116であった。Catmur and Heyes(2017)の結果と異なり,Meaningの影響はみられなかった。一方,本研究が新たに検討したPerspectiveの影響もみられなかった。
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