研究実績の概要 |
GTは,視覚的な入力以外,特別な処理や機構は存在しないと主張する。その一方,ST は模倣固有の処理システムを仮定している。他者と自己のEffecterが等価であることが検出されることで,他者の視覚的な情報が自己の動作に変換されるという。本研究では5種類の道具操作の画像を使用する。それらの視覚提示と同時に,二重課題を実施させる。視覚処理と連動している処理機構を明確にする。 【方 法】大学生20名である。材料:実験装置を使用した。手続き:次の画像が現れたら,それを手がかりに手でコップの上,或いは下を持つことが求められた。彩色やシンボルを含めたCueによってコップの上,或いは下のいずれかを示し,そこを手で持つよう指示した。Red(赤)は上下いずれかが彩色してある点はBlueと同じだが,彩色されていない部分を持つように教示した。二重課題については,構音抑制の場合,数字を繰り返し構音させた。抹消抑制はチューブを繰り返し握らせた。視空間抑制は四角形のシートを置き,その角を繰り返しタップさせた。 【結果と考察】 画像の主効果は,F4, 76 = 5.8265, p = 0.0004, η2 = 0.2347であった。Blue(p < 0.0001)とSymbol(p = 0.0100)がToolより有意にRTが速かった。また,Blue(p = 0.0202)がRedより有意に速かった(いずれも両側検定)。二重課題の主効果は,F3, 57 = 3.2153, p = 0.0294, η2 = 0.1447であった。無し(p < 0.0001)と抹消(p < 0.0001)が視空間より有意に速かった。構音が視空間より有意に速かった(p < 0.0053)。マジックハンドは最もRTが長かった。シンボリックなCue(ドットや彩色)はマジックハンドよりRTが短くなる。同じタイプのRedとBlueではBlueの速度が速い。Red以外全ての画像が明示された部位を持つため,そのような符号化をしただろう。視空間抑制の場合のみ,RTが有意に遅くなった。
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