研究1では,「他者の取り組みは自分自身のものよりも適切に評価できることから促進効果が生じる」という仮説について検討した。その結果,試行履歴を「他者のもの」と認識している時にはメタ認知的な処理が生じやすくなることが示された。研究2では,「他者に対して自分の取り組みを言語的に説明することを通じて促進効果が生じる」という仮説について検討した。その結果,UKでは,誰に向けて言語化するのかにかかわらず,言語化の妨害効果が示されたのに対して,日本では効果は示されなかった。このことから,思考の言語化が洞察問題解決に及ぼす影響は,参加者の属する集団により異なる可能性が示唆された。
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