研究課題/領域番号 |
17K04351
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
富田 昌平 三重大学, 教育学部, 教授 (80342319)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 空想上の存在 / 想像的探険遊び / 空想 / 想像 / 魔術的思考 / 行事 / 幼児教育 / 保育 |
研究実績の概要 |
3年目にあたる2019年度は,以下の3点の成果を得た。 第1に,想像的探険遊びの実践報告の多い県と少ない県の保育園286園に質問紙を郵送し,136園より回答を得た。調査では想像的探険遊び及び空想上の存在が関わる行事(クリスマス会,節分豆まき会)について,その実施の状況・形態・内容等について尋ねた。想像的探険遊びの実施は20%程度であり,大人による扮装物も登場しないことが多かったのに対し,クリスマス会や節分豆まき会の実施は80~90%程度であり,大人による扮装物の登場が多く見られた。想像的探険遊びの実践報告が多い県は少ない県と比べて,該当する実践の判断がより正確であり,扮装物登場の是非についてもより深いレベルで検討されていることが示唆された。調査を通して,空想上の存在が登場する遊びや行事等についての具体的な実践例や配慮事項等に関して,豊富な情報が得られた。また,フィールド調査も引き続き行い,新たな実践資料を得ることができた。 第2に,馴染みのある絵本の空想または現実の人物や場面の実現可能性についての幼児の認識を探るために,幼稚園の4,5歳児クラスの幼児各22名を対象に『めっきらもっきらどおんどん』と『はじめてのおつかい』を読み聞かせ,1週間後に個別面接調査を行った。その結果,空想場面の実現可能性を否定することは加齢に伴い増加したが,絵本に描かれた人物と似たような人物が現実世界にも実在するかどうかの判断は,幼児期にはまだ困難であることが示唆された。 第3に,想像的探険遊びなど空想上の存在との出会い体験が生じる保育実践の鍵概念として「遊び心」を抽出し,学会のシンポジウム等でテーマとして取り上げ,広く意見交換を行った。また,同様のテーマを扱った論考も発達心理学や保育学関連の雑誌に掲載し,現職保育者を対象とした研修や講演等でも解説する等,広く発信した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた調査は終了できたが,まとめの報告書を作成し終えることができなかったため,次年度(2020年度)まで期間を延長する。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は,まとめの報告書を作成する。また,学会のシンポジウム等での意見交換,発達心理学・保育学系の雑誌への寄稿,論文の発表,現職保育者への研修・講演等を通して研究成果を広く発信していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
大学の管理・運営業務や地域貢献業務の増大による多忙化で,2019年度内に予定していた3年間の研究成果のまとめ作業が十分に行えなかったため,研究期間を1年間延長し,残した助成金で論文の作成・投稿,及び研究成果報告書の作成を行う。
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