研究課題/領域番号 |
17K04361
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
西垣 順子 大阪市立大学, 大学教育研究センター, 准教授 (80345769)
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研究分担者 |
川口 洋誉 愛知工業大学, 工学部, 准教授 (60547983)
米津 直希 稚内北星学園大学, 情報メディア学部, 准教授 (30733141)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 学習要求 / 大学生 / 発達 / 大学評価 / 発達する権利 / 学習についての認識 / 大学教育政策 |
研究実績の概要 |
平成29年度の本研究課題の主な成果は次の4点である。(1)多様な背景を持つ学生の学修保障という観点から重要な取組と思われる「カリキュラムやキャンパス運営の公正さ」についてのアメリカ大学教育協会の取組を調査した(論文に公表)。アメリカ大学教育協会はキャンパスの公正さに関する基準を公表しているが、その背景には、人種や家庭の所得によって大学入学後に学位を取得できる可能性が異なるのは、当該の学生の責任に帰すべき問題ではないとの認識があることが確認できるとともに、大学教育を広く普及させることは、米国の経済の進展と民主主義の深化の両方にとって必要なことであるとの認識があることが確認できた。 (2)発達と学習についての学生の認識について調査・分析を行った。成果の一部は発達心理学会でも発表した。大学生が持つ学習についての認識は、大学の選抜性の高さに関わらず共通点が多いことなどが明らかになった。また、セメスターを通じた学修を経ての自身の認識の変化に気づくためには、何らかの仕掛けが必要であり、本研究で試みた「参画ラベルワーク」は一定の有効性を持つことなどが示唆された。 (3)大学評価学会で分科会を開催し、青年の発達を支える高等教育のあり方について、特に職業教育という観点からの検討を行った。大学教育政策のあり方や青年期の職業的社会化のあり方について、高大接続の観点からも議論を行った。青年の適性は多様であり、アカデミックな学問を通じて自らの発達を開拓していくタイプの者と、職業に近い学修でこそ豊かな発達を遂げる者もいる。どちらかが上(または下)になるような言説や政策、カリキュラム構築ではなく、多様な個々人の発達がそれぞれに尊重されて支えられる大学教育および大学と地域との関わりなどについて、今後の検討の方向性も議論された。 (4)青年の発達を支える大学評価のあり方に関する、国内の先行研究の英訳を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度は、学生調査、大学及び大学政策に係る調査、国内外への研究成果の発信の三つの柱を持つ研究計画を立てていた。 このうち学生調査については、学生の学習と発達に関わる認識及びその変容に関して調査も行い、一部は学会で報告することもできた。また公表には至っていないがインタビュー調査も行った。 大学及び大学政策に関しては、米国におけるキャンパス運営の取り組みについて情報収集を行ったほか、高等教育段階における職業教育に関連して政策分析などを行った。 研究成果の発信に関しては、当初の計画通りに学会で分科会を開催するとともに、近年国内に紹介されている海外の大学評価のあり方とは流れの異なる、日本での大学評価研究(青年の発達を基軸においた評価のあり方についての研究)の成果の英訳に取り組んだ。 以上のように、それぞれの柱でほぼ計画に従った成果を上げており、概ね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
大学学習要求が青年の発達をどのように推進するかを明らかにしつつ、大学教育についてカリキュラム、大学評価に係る教育政策、大学と地域の関係のあり方とその評価についての検討をさらに進めていく。 具体的には、次の事柄に取り組む。学生の学習要求の実態とその充実・変容過程に関して、引き続きインタビューも含めた学生調査を行う。また、高大接続や地域と大学の連携、大学と職業の接続に関連した教育プロジェクトを展開する大学・地域等の調査を行うための分析枠組みの検討を行う。また、研究成果の発信と交流のため、学会等で発表を行うほか、大学評価学会での分科会の開催及び国内の先行研究の英訳とその発信に引き続き取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた主な理由は、他の研究プロジェクトで使用したソフトウェアなどを本プロジェクトでも活用できたことと、研究の進捗状況の若干の変更に伴って研究補助謝金が予定より少額で済んだことによる。 他方で、次年度に行うことにしていたインタビュー調査を今年度に近隣の大学で実施できたことなどにより、次年度はもう少し範囲を広げることも計画している。そのためには、当初の予定よりも旅費などの経費が必要になる。次年度使用額は、主にその経費に充てる予定である。
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