研究課題/領域番号 |
17K04366
|
研究機関 | 東洋学園大学 |
研究代表者 |
福田 佳織 東洋学園大学, 人間科学部, 教授 (10433682)
|
研究分担者 |
尾形 和男 埼玉学園大学, 人間学部, 教授 (10169170)
森下 葉子 文京学院大学, 人間学部, 准教授 (90591842)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | アタッチメント / 養育行動 / 子どもの行動特性 / 離乳食 |
研究実績の概要 |
令和2年度は、調査1(離乳期の乳児に父母が食事を与える場面でのやり取りを観察する家庭訪問調査)の協力家庭に対し、乳児が2歳前後になった時点での縦断調査を実施し、父親および母親とのアタッチメント安定性を測定する計画であった。しかしながら、コロナ禍により、予定していた家庭訪問調査が一切実施できなかった。AQSを用いてのアタッチメント安定性の測定は、対象児が5歳まで測定可能であるため、当該年度に予定していた調査は、令和3年度に実施することを検討しているが、昨今の状況を鑑みると、令和3年度も調査を実施できるか不明瞭な状況である。 また、調査1に関し、メール等を通じて新規2家庭から調査協力の承諾を得、調査概要や離乳食場面の撮影方法等の詳細を文書にて送付した。しかしながら、機材の問題や撮影者が家族であることによる問題が生じ、撮影したデータを入手するには至らなかった。 発表を予定していた学会も、コロナ禍により中止されたものもあり、成果報告の機会が減少した。そのような状況においても、発達心理学会でのポスター発表(フラッシュトークおよび個別発表)にて成果報告を行うことができた。そこでは、乳児期の親子のやり取りと幼児期における親子のアタッチメント安定性の関連に関する微細な分析に基づく萌芽的研究の発表を行った。その中で、親の養育行動から子どものアタッチメント安定性へという一方向の影響ではなく、乳児期の子どもの行動特性が親の養育行動に影響を与え、それが子どものアタッチメント安定性に影響を及ぼす可能性を示唆した。 他にも、東洋学園大学紀要にて、成果報告を行った。そこでは、6家庭の親子(父子3組、母子3組)を抽出し、離乳食場面に見られる親の養育行動特性を明らかにした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
上記でも記した通り、コロナ禍により、一切の家庭訪問調査が実施できない状況にある。たとえ、緊急事態宣言が解除された状況においても、家族以外の者が家庭訪問し、屋内に数時間滞在することには問題があるだろう。特に本研究の調査1では、訪問中、日常と同様の食事場面のやり取りをビデオ撮影するため、親子はマスクを外した状態となる(たとえ、調査者がマスクを着用していても、協力者がマスクを外している状況に居合わせることは、感染の可能性を高める)。 また、調査2では、家庭内での観察の他、日常の生活場面を観察するため、公園や買い物に行くことを依頼することになる。こうした条件も、このコロナ禍において感染の可能性を高める。 以上のことから、研究の進捗が遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
調査協力者が見つからない等であれば、ある程度予測可能ではあるが、現況は予測不能な事態である。また、収束の兆しもない中、今後の方策を検討することは困難である。 令和3年度は、現時点で回収されているデータを分析し、それらの成果報告を実施することを中心に進めていく。 しかし、データ数は限られており、部分的な報告となることはやむを得ないなだろう。 また、年度内にコロナが収束しない場合、予定されていた調査は、すべて科研期間を超えて実施することになる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
先述の通り、コロナ禍により家庭訪問調査が一切できなかったことにより、当初、旅費(家庭訪問に要する交通費)および調査協力者への謝金に使用予定であった額が未使用となった。また、学会発表のための旅費に関しても、中止になったり、オンライン発表に切り替わったりしたため、旅費が発生しなかった。これらの理由から、次年度使用額が生じた。
|