研究課題/領域番号 |
17K04368
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研究機関 | 共立女子大学 |
研究代表者 |
河原 紀子 共立女子大学, 家政学部, 教授 (90367087)
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研究分担者 |
根ケ山 光一 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (00112003)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 仲間関係 / 幼児 / 親密な友だち / 小学校への移行期 |
研究実績の概要 |
今年度の研究実績は、以下の二点にまとめられる。 第一に、幼児期の集団づくりの取り組みの一つである、4歳児のグループ活動における「話し合い」の分析を行ったことである。ここでは、他児との意見交換が見られなかった事例に注目し、「グループの名前決め」のプロセスを検討した。その結果、グループ名決定までのプロセスには6つの要素があること、中でも「条件・方向性とそれにあう名前の提案」という要素が重要であることが示唆された。また、他児との意見交換は話し合い経験を重ねる中で進んでいくことも示唆された。 第二に、卒園後の友だち関係の特徴について検討するため、小学校入学後の7月下旬~8月上旬に、同意の得られた保護者(20名中14名)にアンケート調査を行ったことである。今回の調査では、保育園から小学校への移行期であると同時に、コロナ禍における移行期の友だち関係について捉えることとなった。 調査の結果、回答が得られた12名全員が1名以上の「保育園の友だち」と同じ小学校に入学し、そのうち半数以上が保育園の「年長時の仲良し」の友だちと一緒だった。また、家族との会話では、4~7月を通して「保育園の友だち」に関する話題が多く、小学校の新たな友だちに関する話題は7月以降であった。また、「年長時の仲良し」の話題については、同じ小学校に「年長時の仲良し」が「いる」場合は、実際に一緒に遊んだ内容、会話などが挙げられていたのに対し、「年長時の仲良し」が同じ小学校に「いない」場合でも、その友だちがどうしているか気にかけたり、一緒に遊びたい願望を語るなど、どちらも「年長時の友だち」への思いが継続していることなどが特徴であった。また、小学校や学童保育所での新たな友だちとかかわるには共通したきっかけがあることが示唆され、移行期における友だち関係への配慮や支援について提言した。 これらは、それぞれ学会発表、論文にまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題は今年度で終了の予定だったが、エントリーしていた国際学会がコロナ禍で延期になり、予定していた3~4歳までの縦断的検討の成果発表ができなくなった。また、その他の研究活動にも支障があったため、来年度まで延長することとなった。 しかしながら、これまで観察・インタビューを実施してきた幼児の保護者を対象としたアンケート調査は行うことができ、その結果をまとめることもできた。また、仲間づくり活動として、グループ活動における「話し合い」の分析を行うとともに、リーダー活動におけるリーダー選出の「話し合い」場面の予備的な分析には着手した。 保育場面における対立・葛藤場面の抽出作業と分析について、コロナ禍でアルバイトの依頼ができず、あまり進められなかったが、継続して取り組んでいく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、国際学会での発表(オンライン)に向けてデータを見直し、準備を進めていく。また、幼児期における仲間関係、集団づくりなどの理論的検討、3~5歳児における「親密な友だち」の認識の縦断的検討など、これまで収集したデータの分析を進め、関連学会において成果発表するとともに、情報交換・研究交流を図りたい。併せて、研究成果を論文にまとめる作業も進めたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により、アルバイトへの作業依頼が進まず、また国際学会も延期となり、謝金や旅費としての予算は使用できなかった。 次年度は、データ分析を進めるため、アルバイト謝金やそれに必要なPC購入等に使用する予定である。
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