研究課題/領域番号 |
17K04368
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研究機関 | 共立女子大学 |
研究代表者 |
河原 紀子 共立女子大学, 家政学部, 教授 (90367087)
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研究分担者 |
根ケ山 光一 早稲田大学, 人間科学学術院, 名誉教授 (00112003)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 仲間関係 / 幼児 / 親密な友だち / 集団づくり |
研究実績の概要 |
今年度の研究実績は、以下の三点にまとめられる。 第一に、3歳児から4歳児における仲間関係の形成過程について、幼児へのインタビューと保育者による評価を縦断的に比較検討した。その結果、4歳後半になると「遊ぶ友だち」で相互に選択し合う関係が増加するとともに、4歳前半と後半の「遊ぶ友だち」の回答に見られる一致率高くなることが示された。また、「遊ぶ友だち」についての幼児の回答と保育者の評価の一致率も4歳後半で有意に増大することが明らかとなった。これらの結果は保育における集団づくりやグループ活動に有益な知見となることを述べた。これらは国際心理学会において発表された。 第二に、幼児期における「特定の友だち」関係の認識について、幼児へのインタビューから縦断的に検討した。その結果、3歳児は「遊ぶ友だち」の人数が相対的に少なく、その対象が時間経過の中で変化しやすいが、4歳後半から5歳前半にかけて継続性・一貫性が見られ始めるとともに、相互に選択し合う関係になること、さらに5歳後半から「特定の友だち」といつも一緒に遊ぶとは限らず、好意的な感情をもつ「仲良しの友だち」として認識する可能性が示された。これらは日本発達心理学会において発表された。 第三に、4,5歳児のグループでの「話し合い」活動の特徴について、合意形成の過程に着目して事例的分析を行った。その結果、4歳児のグループの名前決めの話し合いでは、6つの要素が含まれること、中でもグループの名前の「条件・方向性とそれに合う名前の提案」がなされることが合意形成にとって重要であることが示唆された。また、5歳児のリーダー決めの話し合いでは、5つの小テーマがあること、そして話し合い経験を重ねることで小テーマの重点が変化することが示唆された。さらに、「話し合い」における保育者の働きかけの特徴と意義について考察した。これらは大学の紀要にまとめられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
延期となっていた国際学会が1年遅れで開催されたため、3~4歳までの縦断的検討の結果をようやく発表できた。そのため、それに続く5歳児のインタビューデータを加えた3年間の縦断的データの分析も行った。 しかし、保育者評価のデータの分析・検討がこれからであり、保育場面における子ども同士の対立・葛藤場面の分析については、今年度もコロナ禍でアルバイトの依頼が難しく、十分進められなかった。そのため、さらにもう1年延長して、これらに取り組んでいくこととなった。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、3~5歳児における「親密な友だち」に関するインタビューデータの見直し、再分析を行い、併せて、幼児期における仲間関係、集団づくりなどの理論的検討を加えて論文にまとめる作業を進めていく。それらの成果、関連学会において発表するとともに、情報交換・研究交流を図りたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により、アルバイトへの作業依頼が進まず、また国際学会もオンラインのため、謝金や旅費としての予算はあまり使用できなかった。 次年度は、データ分析を進めるため、統計ソフトの更新やアルバイト謝金、それに必要なPC購入等に使用する予定である。
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