研究課題/領域番号 |
17K04368
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研究機関 | 共立女子大学 |
研究代表者 |
河原 紀子 共立女子大学, 家政学部, 教授 (90367087)
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研究分担者 |
根ケ山 光一 早稲田大学, 人間科学学術院, 名誉教授 (00112003)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 仲間関係 / 幼児 / 親密な友だち / 集団づくり |
研究実績の概要 |
今年度は、「特定の友だち」関係の認識について幼児に尋ねた回答と保育者の評価について比較検討を行った。 その結果、3歳前半から4歳後半までは、保育者の評価した「友だち」の数(1.5~3人)と幼児の回答した「遊ぶ友だち」及び「仲良しの友だち」の数に差がなかったのに対し、5歳前半と後半になると、保育者の評価した「友だち」の数が有意に減少した。次に性別について、保育者はいずれの時期も、同性の「友だち」を回答する傾向が見られたが、幼児は異性の「友だち」を含む回答が相対的に多いことが特徴であった。保育者が異性を含む回答をした割合は3歳後半の28.6%が最も多かったのに対し、幼児は5歳後半の「仲良しの友だち」のうち61.9%が異性を含む回答だった。また、幼児の回答と保育者の評価した「友だち」の名前との一致率について、「遊ぶ友だち」では3歳前半と比べて4歳後半で有意に増加し90.5%となったが、5歳前半になると23.8%と急激に減少する結果となった。最後に、保育者の評価した「友だち」関係に相互選択がどの程度見られるかについては、3歳前半、4歳の前半・後半では90.5%と高いのに対し、5歳前半では45.0%と有意に減少することが示された。 以上より、保育者によって評価された「友だち」の人数、幼児の回答との一致率、相互選択はいずれも5歳児になると減少するという結果であった。その理由として、保育者の記述によれば、年長クラスになり特定の友だちというより「いろんな子と遊んでいる」、「集団で遊んでいる」というクラスの状況が影響していた可能性が挙げられる。また、そのような集団かつ複数で幅広く遊ぶようになったことにより、保育者の「特定の友だち」の評価基準に他の時期とは異なる違いが生じたのではないかと考えられる。これらの結果について、学会発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
代表者の学内における業務分担が増え、研究活動の時間の確保が困難な状況になっているため。 今年度、保育者評価のデータの分析・検討はできたが、保育場面における子ども同士の対立・葛藤や相互作用場面の分析についてはまだ作業途中になっている。そのため、さらにもう1年延長して、これらに取り組むとともに、理論的な位置づけについても検討することとなった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、保育場面における子ども同士の対立・葛藤や相互作用場面の分析、3~5歳児における「親密な友だち」に関するインタビューデータの見直し・再分析を行い、併せて、幼児期における仲間関係に関する理論的検討を進めていく。それらの成果をまとめ、関連学会や文献等において発表するとともに、情報交換・研究交流を図りたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により研究の進行が遅れ、さらに今年度は代表者の学内業務への対応のため、研究活動を進めることが難しい状況であった。次年度は、データ分析等、効率的に進めるためのアルバイト謝金、また、統計ソフトの更新や成果発表の旅費等に使用する予定である。
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