研究課題/領域番号 |
17K04370
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研究機関 | 実践女子大学 |
研究代表者 |
長崎 勤 実践女子大学, 生活科学部, 教授 (80172518)
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研究分担者 |
細江 容子 実践女子大学, 生活科学部, 教授 (30272876)
吉井 勘人 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (30736377)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 選択欲求質問 / 典型発達幼児 / 自閉症児 / ダウン症児 / 希釈飲料づくり |
研究実績の概要 |
【研究2】典型発達幼児における希釈飲料づくりの発達経過:典型発達幼児(3~7歳)に対し、「希釈飲料作りによる他者意図理解・協同活動のアセスメント・支援パッケージ」のLevel-Ⅳ~Ⅴを適用し、ステップの妥当性を検討した。対象は、2~6歳の典型発達幼児計38名(2歳5名,3歳10名,4歳14名,5歳6名,6歳3名)と保護者で、選択欲求質問の発達を検討した。その結果、自発的な欲求選択質問は、3歳児から4歳児まで増加したが、5歳児では押しつけの後に促されて質問することが増加し、自発が減少した。5歳児では自分で希釈飲料が作れるようになり、自分が作ったものを飲ませたいという自己主張が強く、押しつけるようになった可能性も考えられた。しかし、促されると質問することができ、「自己主張→他者からの調整に応じる」というサイクルが推測された。 【研究4-2】実践指導:Level-Ⅳ~Ⅵに相当の発達障害児に実験的支援を行いパッケージプログラムの妥当性を検討した。 【研究4-2-1】特別支援学校中学部の14歳のASD児(店員役)が希釈飲料を作ってゲストの仲間 に提供する「カフェ」スクリプトによる支援を行った。支援の結果、対象児は稀釈飲料の種類や味の濃淡やストローの色について、自発的に仲間の好みをたずねることができるようになった。これらから希釈飲料づくりの「カフェ」 スクリプトは、ASD児と仲間とのコミュニケーションを促進する際の契機になると考えられた。 【研究4-2-2】5歳のダウン症A児を対象に、カフェごっこ場面を設定し、ウェイター、コック、カスタマーの役割の中からA児が自ら選択し、役割を遂行した。後期のウェイター役では、自発・言語指示が後半に掛けて増加し、セッション8では自発・言語指示が9割近くを占めた。役割理解や他者意図理解が可能になり、カフェごっこという協同活動の基盤ができつつあると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2歳~7歳までの典型発達幼児約40人のデータ収集、分析が終了し、興味深い結果が得られている。また心の理解課題との関係性もデータを得ており、次年度に詳細な分析を行うことができる。パッケージプログラムによるアセスメントに基づいた自閉症児への支援、ダウン症児への支援も同時に行えており、次年度にその比較検討もでき、貴重なデータが得られたといえる。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は、 【研究2】典型発達幼児における希釈飲料づくりの発達経過:前年度の選択欲求質問の観察研究に新たな対象児を加えてデータの信頼性を高める予定である。典型発達幼児の小集団によるカフェごっこの発達も観察する予定である。 【研究3】発達障害児における希釈飲料づくりの特性:社会性の発達が2~7歳の発達障害児(主にASD)に対し、Level-Ⅰ~Ⅴを適用し、達成度を測定し、発達障害児の特性を明らかにする。 【研究4-3】実践指導:Level-Ⅳ、Ⅴに相当する発達障害児に対し実験的支援を行い協同活動に関するパッケージ・プログラムの妥当性を検討する。 【研究のまとめと、図書刊行】パッケージ・プログラムと実践指導をまとめた図書を刊行予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
典型発達幼児の観察を次年度にも継続の予定であり、そのための観察諸費用および、外国での研究発表費用の補助を次年度使用とした。また自閉症児と知的障害児の比較についても次年度に行う計画であり次年度使用とした。2019年度は、前年度の選択欲求質問の観察研究に新たな対象児を加えてデータの信頼性を高める予定である。典型発達児の小集団によるカフェごっこの発達も観察する予定である。 また、社会性の発達が2~7歳の発達障害児に対し、Level-Ⅰ~Ⅴを適用し、達成度を測定し、発達障害児の特性を明らかにする。 Level-Ⅳ、Ⅴに相当する発達障害児に対し実験的支援を行い、協同活動に関するパッケージ・プログラムの妥当性を検討する。
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