研究課題/領域番号 |
17K04374
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
伊藤 貴昭 明治大学, 文学部, 専任准教授 (20550445)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 説明 / 理解モニタリング |
研究実績の概要 |
本研究は,近年重要性が認識されている説明活動において,説明者の生成する説明に与える理解モニタリングの影響を検討することが目的である。 昨年度実施した実験により,聞き手に対する認識の違いが説明内容および説明者自身の理解度に影響を及ぼすことが示された。本年度は,この結果を受け,説明者の理解モニタリングがどの程度正確に行われているかの検討を行った。具体的には,昨年行った実験において,未分析であった説明者と聞き手の事後テストに対する認識について分析を行った。説明者には,ペアでの説明後に事後テストを受けてもらったが,その際,それぞれの問題をどの程度聞き手の学習者が正答するかについての予測を立てさせた。その予測と実際の聞き手の成績とを比較した結果,説明者の予測の正確性はおよそ7割程度にとどまることが明らかになった。さらに,問題をテキストに明示的に述べられた事柄を問う記述的な問題と理解を必要とする問題に分類して分析した結果,記述的問題では85%の正確性であるのに対し,理解問題においては58%の正確性であることが示された。 以上のことから,説明者は事実的な事柄についてはある程度正確に把握できている一方で,理解状況のモニタリングについては,チャンスレベル程度の把握しかできていないことが示唆され,これらの結果について学会発表を行った。 続けて,理解モニタリングと説明内容との関係を検討するため,説明者のモニタリングの正確性と説明内容の関係を分析したが,本研究のデータからは有意な関係性を見いだすことができなかったため,これについては今後の課題として残された。 なお,本年度は昨年行った実験で得られた成果を学術論文としてまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年未着手であった理解モニタリングの分析を終え,説明者の理解モニタリングの正確性について実証的な検討を行うことができた。 また,昨年度行った研究成果について論文化を終え,掲載される運びとなってるため,おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
理解モニタリングと説明内容の関係については,さらなる検討を重ねていく必要がある。それと同時に,実践場面への適用を目指し,以前より連携している教員の授業を中心に,これまでの成果を実践へ適用していくための条件について検討していく。 また,新たな実践場面の開拓も進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じたのは旅費,人件費が当初予定したよりも抑えられたからである。 翌年度以降,実践場面へ訪問するための費用として使用する予定である。
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