研究課題/領域番号 |
17K04377
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研究機関 | 中京大学 |
研究代表者 |
水野 里恵 中京大学, 心理学部, 教授 (10321019)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 気質 / 塗り絵 / 算数学習法 / 家庭学習 / 授業態度 |
研究実績の概要 |
研究室コホートに対して下記の2つの質問紙調査を実施した。第8回質問紙調査:第7回調査に回答が得られている55の家庭に質問紙を送付し,有効回答は47名(男児19名,女児28名)から得られた。気質測定質問紙と塗り絵,色鉛筆を郵送し調査を行った。子どもの気質はTemperament in Middle Childhood Questionnaireを翻訳して使用し,母親に回答を求めた。塗り絵は子どもに塗ってもらった。塗り絵をする際,時間の制限などは特に設けず,子どもが一度やめたところでやめてもらうように保護者にお願いした。第9回質問紙調査:子どもの勉強への母親の介入態度,母親認識による子どもの算数勉強,子どもの家庭学習・授業態度(子どもが回答)について尋ねる調査である。 2010年生まれの第一子の子どもとその母親に回答を求めるウェブ調査を実施し,635名から回答を得た(2019年1月)。調査内容は,研究コホートに実施した第8回調査と第9回調査の内容と同一である。 ウェブ調査の分析結果から,自分から家庭学習に進んで取り組む態度や授業に熱心に取り組む態度の子どもほど,エフォートフル・コントロールが高く,母親が日常的支援をすることが多いこと,勉強の時にそばにいることや励ましたり慰めたりすることが多いこと,成績を他者と比較したりよい成績を取るよう圧力をかけることは少ないことがわかった。また,情動反応性に係る気質的個人差は,意見を言ったり先生に尋ねたりする学習態度に関連していた。効率的な算数勉強方略には母親の成績圧力型支援がプラスに働いていることが示唆された。研究室コホートの調査については,縦断的データを含めて分析中である。 本研究で気質的観点を交えての発達過程を考えている「自己制御・自己調整」について,国内研究者によって現時点までに実施されてきた問題点・議論を整理した論文の執筆を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
子どもの気質測定を行うと同時に,対人場面・学業活動場面での自己制御行動についての2つの質問紙調査(研究室コホート対象の縦断研究,ウェブ調査)を実施し,データ分析を進めることができた。予定していた実験的観察調査については実施できていないため,2019年度に実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
対人場面・学業活動場面での自己制御行動についての面接調査・観察調査を実施する予定である。対人場面での自己制御行動の調査内容は,研究代表者が開発・実施したテストバッテリー(実験観察法)を使用し,学業活動場面に関する実験観察法は新たに考案する予定である。コホート研究参加者には遠方への転居などで,実験的観察調査には参加できない事情が生じている者が含まれる可能性があり,十分な研究参加者数が得られるか不透明な部分がある。その場合,大学近辺に在住の2010年出生の第一子を追加参加者とするなど対応を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
子どもを対象にした実験的観察・面接調査が実施できなかったため,それに予定した助成金を次年度に使用する。観察調査・面接調査の実施補助要員を雇用し,調査を遂行したいと考えている。
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