研究課題/領域番号 |
17K04377
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研究機関 | 中京大学 |
研究代表者 |
水野 里恵 中京大学, 心理学部, 教授 (10321019)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 自己制御 / 対人場面 / 学習活動 / 気質 / 学童期 |
研究実績の概要 |
研究室プロジェクトコホートに対して第10回質問紙調査を実施した。質問紙の送付は第9回調査に回答が得られている47の家庭に行い,有効回答は43家庭(男児の家庭16,女児の家庭27)から得た。子どもの気質は第7回調査・第8回調査と同一のTMCQの10次元を7段階評定で測定した。対人場面での自己制御行動は,友達との場面,家族との2場面での行動を各18項目で測定し,母親の養育態度は22項目で測定した。 質問紙調査に回答の得られた43の家庭に子ども面接調査・親子観察調査の依頼を行い,日程調整のついた16名 (男児6名,女児10名) を対象に,タブレット端末を使用して日常場面での自己制御行動に関する面接調査と親子課題場面での行動観察調査を実施した。加えて,子どもに得意な科目や苦手な科目を含む学業活動や学校生活について尋ねた。 第10回質問紙調査データ分析の結果,これまでの縦断データとの関連で以下の知見が得られた。(1)学童期前半の対人場面の自己制御行動の個人差は安定して観察されること,(2)情動反応性の気質は対友人の場合の自己実現的行動と関連を示したが,対家族との関連性は限定されること,(3)情動制御性の気質は対友人・対家族場面での自己抑制的行動と関連を持っていることが判明した。この成果については,発達心理学会で発表した。 ちびっこ研究プロジェクトの乳幼児期の気質測定から得られた知見について,同志社大学赤ちゃん学研究センターによる招待講演「母親評定による赤ちゃんの気質的個人差」で紹介した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究室プロジェクトコホート研究は研究協力者数が43名と縮小しているが,参加への意欲が高い協力者が残っているため,質問紙回答に関しては信頼性の高いデータが得られている。一方で,行動観察調査は,子どもの習い事や親の仕事の都合などで日程調整が難しく,さらに2020年3月に実施予定をしていた4名についての実施が困難な状況(コロナウイルス 感染リスク懸念)となり,縮小したサンプル数(16名)となっている。
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今後の研究の推進方策 |
(1)研究室プロジェクトコホートに対する行動観察調査とそれに対応する形での全国2010年出生コホートのウェブ調査を実施する。 (2)研究室プロジェクトコホートの学童期縦断データ分析・全国の2010年出生コホートの学童期データ分析とを統合して考察を加える。 (3)研究室プロジェクトコホートの0歳~9歳までの縦断データ分析を行い,子どもの対人場面・学業場面での自己制御行動について,気質の生理基盤や関連する脳機能部位・養育態度との相互作用効果についての理論構築を行う。成果については,平易な解説を交えた一般向けの啓蒙記事としてWebページにて発信を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:研究室プロジェクトコホートに対する行動観察調査と対応する形での全国2010年出生コホートのウェブ調査を計画していたが,行動観察調査そのものが中途で終了(サンプル数16名で調査終了)することになり,ウェブ調査は次年度に実施することに変更したため。 使用計画:繰越分については,全国2010年出生コホートのウェブ調査に使用する。
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