研究課題/領域番号 |
17K04382
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研究機関 | 京都ノートルダム女子大学 |
研究代表者 |
松島 るみ 京都ノートルダム女子大学, 現代人間学部, 教授 (40351291)
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研究分担者 |
尾崎 仁美 京都ノートルダム女子大学, 現代人間学部, 教授 (10314345)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 学習方略 / 事前学習 / 事後学習 / 大学生 / 講義型授業 / オンライン授業 |
研究実績の概要 |
2017年度には,介入実験において,授業前に問いを提示したり,予習活動を課すことにより学習方略が促進され,授業に対する興味や理解度が高まる傾向を確認し,2018年度には,事前学習のみならず事後学習を取り入れることの効果について,学習者の個人差変数も加えて検討を行った。さらに,2019年度は事後学習の一つとして,テスト効果に焦点を当てた介入実験を行った。 2020年度以降は,コロナ禍により,当初予定していた授業介入実験を進めることが困難になった。このため,研究計画を見直し,2020年度はオンライン授業における学習効果を明らかにするため調査研究を進めた。具体的には,学習者のオンライン授業に関する評価には,学習者のどのような個人特性が影響を及ぼしているのか,自己調整学習方略,自己効力感,協同方略,学習の持続性,学習への積極的態度の観点から検討した。 2021年度は,前年度に引き続き,オンライン授業に焦点を当て,オンライン授業観尺度の作成を行った。現在は,対面授業が再開されつつあるが,コロナ禍でのオンライン授業の経験を経て,学生,教員ともに「対面授業」への意識や方法について変化がみられたといえる。このため,改めて「対面授業」に対する意識を学生に尋ね,そのメリットやデメリットについて検討するとともに,オンライン授業の経験のどのような側面が今後,対面授業に活かされるべきか,検討を進めている。 今後,大学の授業では,オンライン授業も組み込んだブレンド型授業が一定数実施されることが推測され,本研究課題についても,新しい授業形式を見通したモデルを検討していく必要があると考えている。2021年度の研究については,現在学会誌に投稿中である他,2022年秋の学会発表を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度は研究総括を行う予定であったが,2021年度も引き続き新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受け,当初予定していた授業介入実験が困難な状況となった。このため,2021年度より実験実施の代わりとして開始した,オンライン授業に関する調査研究を継続して行い,当初の研究内容を柔軟に見直しながら進めている。 当初予定を変更しての調査研究となったものの,今後の大学の授業は,以前の授業スタイルに完全に戻ることは考えにくい。このため,これまで積み重ねた研究成果をベースにしながらも,オンライン授業に関する実態調査も進め,大学教育に求められている新たなニーズを意識することも重要であると考えられる。2022年度は,そのような新たな大学教育にかかわる視点も含めながら,研究総括を行い,「授業プロセスモデル」の完成を目指していく。
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今後の研究の推進方策 |
1.授業の事前・事後学習のオンライン授業での活用 2022年度は対面授業が再開されつつあるため,当初予定していた計画をベースとし,2017~2019年度に積み重ねてきた研究成果を踏まえながら,授業介入実験を再開していく。一方で,大学の授業はコロナ禍を経て,様々な点で影響を受けており,新たな授業方法が模索されつつある。 このため,今後の新たな大学教育の在り方を見据え,当初の計画を柔軟に見直しながら,より現状に合う形での授業介入実験を進めていきたい。そして,今後一定程度取り入れられていくと考えられる「ブレンド授業」における,事前・事後学習の効果についても検討していきたい。 2.授業プロセスモデルの構築 本研究の最終目標は,「授業プロセスモデル」を構築することである。これまで遂行してきた研究結果をもとにモデルの構築を行うことを課題とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度は研究総括を行う予定であったが,2021年度は前年度に引き続き,新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受け,当初予定していた授業介入実験が困難となった。さらに,学会出張等が取りやめになったことから,旅費に出費をする必要がなくなった。 2022年度は最終年度であることから,予定していた研究を遂行する他,成果発表も積極的に行っていく予定であり,予算の適切な使用に努めたい。
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