研究実績の概要 |
小高・紺田(2018,2020)の研究成果を国際学会(The 17th Biennial Conference of the European Association for Research on Adolescence)に於いて発表した。小高・紺田は,日々の母娘関係の構造分析行い,「母娘の親和的コミュニケーション(親和因子:Affiliation)」と「娘の自己主張(主張因子:Assertiveness)」の2つの共通因子があることを明らかにし,これら2因子を用いて前日から当日の時間的な遅れ(ラグ)を入れた時系列の影響過程を動的因子分析(DFA: dynamic factor analysis)により分析を行ってきている。国際学会においては,これらの研究成果から日々の母娘関係は独立したものではなく,母と娘は日々相互に関連しあいながら次の日に影響を与えているということ,また母娘の結合性を基盤にした情緒的絆は,青年の自立のプロセスと関係している可能性があることを報告した。 さらに,上記で得られた「自己主張」に関する因子は,第二反抗期の態度・行動を含むと考え,青年の第二反抗経験と親の養育態度,及び青年の親への態度との関連について研究を行った。その結果,青年の反抗の形態は「表出的な反抗」と「内面的な反抗」の二つの種類があること,また親の統制的な養育は青年の反抗を生起させ,受容的で自律性を重んじた養育態度は内面的な反抗を抑制していること,そして内面的な反抗は情愛的な絆を弱くし,親との対立を生み出す可能性があるということが明らかとなった。さらに男女差について検討した結果,男性よりも女性の方が第二反抗経験と養育態度や現在の親ー青年関係の間においてより多くの有意な関連が認められ性差があるという結果が得られた。これについては,第4回応用心理測定研究会において発表した。
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