研究課題/領域番号 |
17K04392
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
徳永 豊 福岡大学, 人文学部, 教授 (30217492)
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研究分担者 |
田中 信利 北九州市立大学, 文学部, 教授 (90236612)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 発達 / 重度・重複障害 / 共同注意 / 要求行動 / 拒否行動 |
研究実績の概要 |
共同注意に関して、乳幼児を対象とした発達研究は報告されているが、障害の重度な子どもを対象とした研究は少ない。乳幼児だけでなく、障害のある子どもにとってもコミュニケーションの基礎である「共同注意の形成」「要求・拒否行動」は、欠くことができない力である。特に障害が重度な場合は、「他者と共同して活動に取り組む力」を身につけることが求められる。そこで、発達水準が1歳半程度までと推測される重度・重複障害児を対象とし「学習到達度チェックリスト」によって、発達評価を行った。重度・重複障害児が教育を受けている特別支援学校の5名の教諭(各教諭1事例ないし2事例)に発達評価を依頼し、関連する日常的な行動及びチェックリストの行動項目における「根拠となる行動」とともに評価データを収集した。 また、それぞれの学校において、「玩具遊びの相互交渉場面」と「支援者の段階的な働き掛け場面」での支援活動を実施し、録画した。対象物が子どもの視野から過度にずれると注視が難しくなるため、子どもの体の前(胸を中心に直径50cm程度の範囲)において大人が対象物を操作し、働きかける。子どもが対象物を見やすいように、また手などが動かしやすいように子どもの姿勢や玩具の位置を工夫した。 教師の働きかけと子どもの鼓動からトランスクリプトを作成し、「学習到達度チェックリスト」の発達評価の妥当性を検証した。また、「支援者の段階的な働き掛け場面」では段階的な働き掛けとして、常田(2007)、実藤(2012)を参考に、①対象を子どもに見せる(注視)、②対象を動かす(追視)、③注意を支援者に向けるよう注意喚起する(アイコンタクト)など10項目であった。それぞれの働き掛けを3回繰り返し、子どもの行動を記録した。その結果について分析している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
重度・重複障害児を対象とし「学習到達度チェックリスト」によって、発達評価を順調に実施するとともに、「玩具遊びの相互交渉場面」と「支援者の段階的な働き掛け場面」での記録も順調に進んでいる。これらのデータ分析も予定どうりに進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度と同様のデータを収集するとともに、相互交渉場面におけるデータ分析を進める。また、支援者の段階的な働き掛け場面における支援者からの働き掛けに対する子どもの行動について評定を行う。その際の視点を踏まえて、それぞれの働き掛けに対する行動の生起を評価し、応答的共同注意の形成までの発達特性を分析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度の3月に、研究方法・成果のとりまとめについての情報収集の出張に、他の協力者の参加を予定していた。その協力者が体調不良のために、キャンセルになり、そのための旅費が残った。今年度の研究打ち合わせに使用する予定である。
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