幼児の感情コンピテンスを高める要因について、幼児教育の質、保育者および他児による特性理解という2つの点から明らかにした。第1に、保育場面での遊びの質と保護者による肯定的捉え、特定の他児との愛着関係、保育者との愛着関係が感情表出力の向上に貢献すること、第2に、保育者は実際の幼児の姿からその特性を正確に把握しており、感情表出の困難さは幼児の特性理解にマイナスに影響しないことが明らかにされた。第3に、ネガティブな表情で向社会的行動を示す他児は「意地悪な子」であり、ポジティブな表情で攻撃的に振る舞う他児は「優しい子」であるなど、他児の特性に関する幼児の理解には感情表出の困難さが影響することが示された。
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