研究課題
基盤研究(C)
本研究は、健常高齢者を対象に認知症対策を目的としたグループ回想法を実施し、その効果を標準化された検査により計量学的に検証した。その結果、グループ回想法に参加した高齢者は、認知機能と記憶検査の下位項目において改善がみられた。並行して回想法において語られる内容について多角的に評価した結果、エピソードの描写に加えて感情や受容などを含む心理的な内容の重要性も示唆された。
教育心理学
本研究では、回想法の効果について心理検査を用いて客観的に検証することのみならず、自伝的記憶の視点による指標を用いて質的に回想法における語りデータの内容分析を行い、両者の関連を検討した点に学術的な特色があると考えられる。また、全国でも回想法が導入されている自治体が少ないなか、研究を通して回想法を初めて導入し、地域に定着させることも狙いとしたことにより、回想法終了後も、同じ地域に住む高齢者同士が交流を継続している報告があったことから社会的な意義があったことを示唆している。