研究実績の概要 |
(1)初年度に全ての学生相談機関におけるOJTの実態調査と、特色あるOJTを行っている2大学を調査訪問した。外部研修には87.6%の大学が参加する一方、内部研修を実施しているのは50.7%の大学に留まっており、内部研修が十分になされていない現状が明らかになった。以上の研究結果は学生相談研究に「全国の学生相談機関における研修の実態と課題」として今年度掲載された。(2)スーパーヴィジョンが十分に普及していない日本の状況はカウンセラーが社会的責任を果たしていく上で大きな問題であると捉え、日本におけるスーパーヴィジョンの発展・普及のヒントを得るために, スーパーヴィジョンに積極的に取り組んでいるニュージーランドカウンセラー協会を訪問し,計17名のカウンセラーにインタビューを行った。その結果、フルタイムのカウンセラーは2週間に1時間のSVが推奨されていた.また, スーパーヴィジョンの費用は職場が主に支払っており, Code of Ethics(倫理規範)のもとで力関係を排除したスーパーヴィジョンをもつことなどの取り決めがなされていたことが分かった。本内容は「ニュージーランドにおけるカウンセラーのスーパーヴィジョン システム」、「ニュージーランドにおけるカウンセラーのスーパーヴィジョン システムー文化スーパーヴィジョンに着目してー」という2本の論文として東北大学高度教養教育・学生支援機構紀要に掲載された。(3)昨年度まで東北大学の学生相談機関におけるOJTについて、所属するカウンセラーを対象にインタビューを実施した。スーパーバイザーを上司が担うという多重関係の問題はあるものの、工夫次第ではカウンセラーの成長支援として有効であると考えられた。
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