研究課題
・健常成人のアルコール習慣飲酒者約70名を対象として縦断オンライン調査を行い、潜在連合テスト(Implicit Association Test: IAT)によるアルコールへ選好の潜在的認知測定と自記式で測定した依存症重症度(The Alcohol Use Disorders Identification Test:AUDIT)・飲酒リスク認知(Alcohol Relapse Risk Scale: ARRS)・飲酒渇望感(Visual Analogue Scale: VAS)が、測定後1週間の飲酒量および測定後の仮想報酬としてのアルコール選択にどう関連するか検討した。結果、①臨床群(研究実施者がアルコール依存症者を対象として行った別調査の結果)同様、IATによるアルコール選好、および自記式指標の多くが1週間後飲酒量および報酬選択と有意な関連を認めた。臨床群との違いとして、VASによる飲酒渇望感が最も飲酒量および報酬選択と高い相関を示した。一方、IATと飲酒量・報酬選択との相関は有意ではあるが臨床群よりは低かった。③健常成人のIATによるアルコール選好度は臨床群(アルコール依存症者)よりも低いものの、有意差は認められなかった。・自身が開発した依存症評価系について、適用依頼のあった他の依存症関連の共同研究(アルコール依存症治療薬効果検証RCT・薬物依存症治療薬効果検証RCT・薬物依存症への短期介入効果検証RCT・薬物事犯者への再犯予防プログラムの効果測定研究)への専門知識提供・統計解析および論文執筆サポートを行った。特にアルコール依存症治療薬効果検証RCTについては、英文論文として成果を公刊した。
2: おおむね順調に進展している
・通常時間のかかる縦断データ収集を、リサーチ会社に登録しているモニターを対象としたオンライン調査という形式で行えたこと。また認知的測定もウェブ上で実施可能なソフトを導入し、オンライン調査内に組み込むよう工夫した。この2点が実現し、比較的スムーズに収集が進んだ。
・IATにより測定したアルコール選好度と自記式測度による飲酒リスクが飲酒行動におよぼす影響をさまざまな観点から検討するため、引き続き健常群や臨床群を対象にした調査を実施する。・認知課題によるアルコール選好度を、認知機能が低下したアルコール依存症患者でも簡便に使いやすいかたちで測定できるように改良を図る。・飲酒行動の予測を最適化できるような、認知測定と自記式測定の得点の組み合わせ方を検討する。
・予定していた海外の国際学会での学会発表が翌年にずれ込んだこと。海外出張費に繰越金を使用予定。・まず健常人を対象としたオンライン調査研究を実施し、臨床研究実施を次年度以降に行うことにしたこと。次年度分の臨床研究実施に必要な設備費や謝金に繰越金を使用予定。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件)
Neuropsychopharmacology Reports.
巻: 38(1) ページ: -
10.1002/npr2.12001
日本アルコール・薬物医学会雑誌
巻: 52(1) ページ: 2-10.
アディクションと家族
巻: 33(1) ページ: 58-68