研究課題/領域番号 |
17K04404
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
伊吹 英恵 千葉大学, 子どものこころの発達教育研究センター, 特任研究員 (20757463)
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研究分担者 |
清水 栄司 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (00292699)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 摂食障害 / 神経性過食症 / 認知行動療法 / 質的研究 |
研究実績の概要 |
本研究では、Fairburnの提唱した症状維持要因に基づき、自己記入式の質問紙調査とインタビュー調査の量的・質的アプローチから神経性過食症における症状維持要因、予測因子を明らかにして、神経性過食症のアセスメント技法を開発することを目的とする。 神経性過食症に対する認知行動療法の効果は多数研究で実証されているにもかかわらず、わが国の臨床現場に認知行動療法が十分に普及しているとはいえない。その理由を明らかにするために行われた英国の研究では、摂食障害への認知行動療法の実施にあたってセラピスト側が抱く懸念や不安が調べられ摂食障害の認知行動療法を構成する各要素のうち、身体イメージをとり扱う作業や治療終結に対する大きな不安・懸念が明らかになった(Turner 2014)。一方でわが国における神経性過食症への認知行動療法の普及を阻害している心理的要素を探索した研究は行われていない。したがって認知行動療法を実施できるセラピストが摂食障害や摂食障害の認知j行動療法そのものに対して抱いているイメージ探索は重要であると考える。様々な精神疾患に対する認知行動療法の経験を持つセラピストにおける摂食障害を担当することに対する心構えをモデル化することにより、数値化困難な、摂食障害の認知行動療法におけるセラピスト側の心構えや懸念や不安を理論化し、摂食障害の認知行動療法の普及が十分でない要因の明らかにするとともに、摂食障害の困難さを明らかにする。 本年度は、5年以上の心理臨床の経験を有し、うつ病、不安障害、神経症過食症を含めた10症例以上の精神疾患の認知行動療法の治療経験を持つ5名のセラピストを選択し、1対1での半構造化インタビューを実施したものを質的研究法のM-GAT(修正版グランデッド・セオリー・アプローチ)を用いて分析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
セラピストに対するインタビュー調査の分析を行い、モデル化を行っている。 認知行動療法の治療経験があるセラピストが抱くイメージのモデル化を行うことで様々な疾患と摂食障害における疾患特有性が明らかになり、治療における工夫は今後の治療技法やアセスメント技法に新たな知見をもたらすものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
摂食障害の疾患特有性を明らかにし、セラピストが抱える懸念・困難への解決策を検討し、効果的なアセスメント技法を検討する。
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