研究課題/領域番号 |
17K04405
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
吉田 斎子 千葉大学, 子どものこころの発達教育研究センター, 特任研究員 (00789745)
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研究分担者 |
清水 栄司 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (00292699)
浦尾 悠子 千葉大学, 子どものこころの発達教育研究センター, 特任講師 (40583860)
平野 好幸 千葉大学, 子どものこころの発達教育研究センター, 教授 (50386843)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ひきこもり / 認知行動療法 / 遠隔医療 / 不安症 / 不登校 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、社交不安症、パニック症、広場恐怖症等のために、外出が困難で不登校・ひきこもり状態となっている青年に対して、従来の対面での面接ではなく、Skype等のテレビ電話での面接に要る遠隔認知行動療法(遠隔CBT)の安全性、実用可能性を確認後、有効性を検証することである。日本には、小学校・中学校の不登校は18.1万人(令和元年)、15歳から39歳のひきこもりは54.1万人(平成27年)、さらに40歳から64歳のひきこもりは61.3万人(平成30年)いると報告されており、大きな社会問題となっている。これまで不登校・ひきこもりに対して様々な施策がなされてきたにもかかわらず、その数は減少していない。不登校・ひきこもりの発生や維持には、不安の問題が大きくかかわっているととらえることが出来る。全国の不登校・ひきこもりの当事者や家族、またその予備軍の青年にCBTを提供するために、遠隔CBTの実用可能性の検討と治療効果の検証を行い、これまでの医療にアクセスすることが出来なかった不登校・ひきこもりの早期改善が見込まれると予想される。 当初計画していた通り①不安症臨床群への単群試験(医療分野)②高校生・大学生への応用試験(教育・保健分野)③ひきこもり青年への応用試験(福祉分野)のチームに分かれて、それぞれのチームにわかれて、チームごとに研究を進めている。 ①では、安全性の確認、不安症患者への適用と効果検証を行い結果の取りまとめを行った。②では高校生・大学生へのアンケート調査を実施して、その結果の取りまとめを行っている。③では、ひきこもりの当該青年への応用試験の前に、ひきこもりの親を対象として、遠隔相談の有効性を問う研究を計画、実行して、現在、データ解析を行っている。さらに、親を対象とした集団でのアプローチ方法を検討し、研究計画を立案し倫理申請を終えて、研究中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
それぞれ3つのチームに分かれて、研究を進めている。①医療分野に関して論文発表および学会発表を行った。②教育・保健分野に関して論文投稿準備中である。③福祉分野に関して、ひきこもり親に対して実施した遠隔相談の結果をまとめ論文投稿準備を進めている。さらに親を対象とした集団でのグループ相談の無作為割付け試験を計画し、実施しているが新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響を受け、予定通りには進めていないため、進捗状況としては、やや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
①医療分野と②教育・保健分野に関して上記のように概ね計画通り進んでおり、問題ないと考えるが③福祉分野に関して、研究期間を考慮して現在までの研究を一旦取りまとめ、今後につながるよう研究計画を見直し期間内での研究完了を目指していく。保護者に対して、対面または遠隔相談を個別で行っていたが、現在は集団でのグループ相談に体制を変えて取り組みを試みている。先ずは保護者側への変化を促して、本人へのアプロ―チにつなげていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症の感染拡大の影響を受け、研究協力者が集まらず、研究が計画通りに進まなかった。また、学会等発表の機会が減ってしまったため、旅費に対する支出がなかった。
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