研究課題/領域番号 |
17K04406
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
松田 修 上智大学, 総合人間科学部, 教授 (60282787)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 見当識 / 認知機能 / 生活障害 |
研究実績の概要 |
本年度は、前年度に引き続き、見当識とその障害に関する文献研究を中心に行った。時間見当識と場所見当識に関する従来のアセスメント方法の課題について検討し、新たなアセスメント方法の可能性を検討した。さらに、物忘れ外来を受診した患者に対して行われた認知機能検査の成績をどう生かして、見当識障害のメカニズムを調べたらよいかについても検討を行った。文献研究では、認知症患者における日常記憶の基盤の一つとして見当識を示唆する研究があり、見当識障害が患者の実生活の活動に重要な影響を与える可能性が示唆された。この点は、見当識障害の的確なアセスメントが、患者の生活機能の支援にとって重要な意味を持つことを示唆するものと考えた。アセスメント方法に関しては、特に、場所の見当識を尋ねる質問の妥当性について検討した。物忘れ外来を初めて受診した患者の中には、そこが病院であることは認識できても、病院がある場所の詳細な地名に関しては事前に知らないことが少なくない。また、MMSE-Jのように、従来からある認知機能検査にある見当識の問題では「何階か」を尋ねる質問があるが、付き添いの人が操作してエレベーターで来室し、しかもその部屋に窓がない場合のように、見当識の手がかりが十分にない状況だと、検査場面における患者の回答には、見当識以外の能力(例えば、事前に診察室が何階であるかを聞かされていたとしたらエピソード記憶、など)が強く影響している可能性がある。従来の見当識を尋ねる質問項目が一体どのような能力を測定しているのかについて改めて検討する必要があることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新たなアセスメント方法の決定に時間がかかっているため。文献研究は概ね順調に進んでいるが、量的テータに基づく研究が遅れているため。
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今後の研究の推進方策 |
量的データを用いた分析を進めていきたい。臨床群のデータだけでなく、非臨床群を対象としたアナログ研究の可能性も検討し、見当識障害のメカニズムについて迫りたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、昨年度と同じく、文献研究や臨床実践の振り返りを中心に行った。そのため、データ入力・分析などに関わる人件費や謝金として研究費を使用しなかった。分析ができなかったため、学会発表のための旅費も使用しなかった。これらの点が次年度使用額が生じた主な理由である。 次年度は、いよいよ本格的なデータ解析を行う予定であり、そのために必要な人件費や謝金、さらには分析で必要な物品や、分析結果の学会発表や論文投稿に必要な費用に、研究費を使用する予定である。
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備考 |
場所見当識のアセスメント方法に関する問題点について、『公認心理師技法ガイド:臨床の場で役立つ実践のすべて』<下山晴彦(編集主幹)、伊藤絵美、黒田美保、鈴木伸一、松田修(編)文光堂 2019年3月22日発行, p238>で、紹介した。
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