研究課題/領域番号 |
17K04408
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
岩藤 裕美 筑波大学, 人間系, 助教 (80747741)
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研究分担者 |
青木 紀久代 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 准教授 (10254129)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ひきこもりの回復過程 / アウトリーチ支援 / 支援効果の促進要因 |
研究実績の概要 |
ひきこもり者へのアウトリーチ支援モデルの構築として、平成30年度の実績は以下の3点である。 第1に、「研究実施計画」にあるところの利用者による支援評価の分析としては、支援の最後に行ったインタビューを基に、どのような点が動き始めるきっかけとなったかについて検討した。その結果、就労支援や居場所支援等の支援機関について知ることができ、訪問支援員と共にそうした支援機関を見学に訪れたことが挙げられており、そうした初めの一歩とも言える行動がきっかけとなっていたことが示唆された。 第2に、上記の結果をふまえて多変量解析を行った。目的は支援目標の達成(ひきこもりから脱出させ他機関につなぐこと)に関与する要因を検討することであった。アウトリーチ支援を利用した112名を対象に分析した結果、本人がひきこもり開始後1年から5年であり、家族関係が良好な場合には、本人が支援を受け入れやすいことが示された。また、ひきこもりが学齢期の不登校から派生している場合や支援機関に訪問支援者が同行した場合、またひとり親の場合には、他機関へと繋げるという支援目的が達成されやすいことが示唆された。これらの結果については、米国心理学会第126回大会にて発表を行った。 第3に、これまでの研究成果について発表を行った。米国心理学会第126回大会においては、平成29年度に行った「ひきこもりから外に向かうまでの過程」の分析結果についても発表し、学齢期の不登校から始まるパターンと就労という社会への移行に生じるパターンそれぞれの他機関に繋がるまでの過程を比較検討して報告した。また、学術誌Psychiatryに「ひきこもり支援の実践」について寄稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、平成29年度の課題であったひきこもりからの回復過程(外に向かう過程)の検討と、平成30年度の課題であるひきこもり本人(利用者)のアウトリーチ支援に対する評価の分析をほぼ終えている。ただ、平成29年度のもう一つの課題であった文献調査がまだ中途であるため、この区分とした。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題は最終年度を残すのみとなった。最終年度としての推進方策は以下の通りである。 第1に、文献調査を進め、国内外のアウトリーチ支援に関する文献を収集しまとめて、アウトリーチ支援における課題を抽出する。 第2に、訪問相談を行った支援者(心理士)へのインタビューを分析し、訪問相談を行ってどうだったか、面接の状況をどのように能動的に作っていったか、苦心した点などを抽出して、アウトリーチ支援を支援者側から評価する。その結果について、海外の学会で発表することを考えている。 第3に、本研究課題の成果について報告書にまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
文献の取り寄せが遅れ、次年度にまわってしまったため。 この次年度使用額については、文献・図書費として使用する計画である。
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