研究課題/領域番号 |
17K04408
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
岩藤 裕美 筑波大学, 人間系, 助教 (80747741)
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研究分担者 |
青木 紀久代 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 准教授 (10254129) [辞退]
谷田 征子 帝京平成大学, 臨床心理学研究科, 准教授 (60635150)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ひきこもり支援 / アウトリーチ支援 / 支援評価 |
研究実績の概要 |
研究課題であるひきこもり者へのアウトリーチ支援モデルの構築について、2019年度の実績は以下の3点である。 第1に、「研究実施計画」にある相談員(心理士)の支援評価の分析について、訪問相談を行ってどうだったか、面接の状況をどのように能動的に作っていくのか、ケースマネージメント上の工夫などについて、フォーカスグループインタビュー及び個別のインタビューを行い、データを収集した。 第2に、上記のフォーカスグループインタビューの分析結果を基に、ひきこもり者への支援プログラムの構築と評価について、国際学会(第7回アジア健康心理学会:ACHP,於マレーシア)にて発表を行った。具体的な内容としては、①本プログラムの利用者の内76.5%(50件中38件)が他機関へとつながることが示され、本プログラムの有効性が示されたこと、②インタビューによって明らかとなったプログラムの課題について、である。例えば、決められた回数内で本人の回復へのモチベーションが得られなかった場合の対応や、アウトリーチ支援に対する本人の同意が得られず家族支援が続く場合に相談員の困り感が強かった。発表では、こうした状況に対応しうるための家族介入プログラムの併設など、プログラムの改善課題について報告した。 第3に、上記のフォーカスグループインタビューデータに基づき、相談員がどのような動きをしていたのかを質的に分析し同国際学会にて報告した。具体的には、親とひきこもり本人との三者関係の中で支援を行う必要があること、日常的空間の中で親子関係をアセスメントしながら、ひきこもり者と訪問支援の目的を明確にしつつ、親の不安やひきこもり者本人のアンビバレントな思いを抱えるという多面的かつ能動的な支援を行っていたことが示唆され、ひきこもりからの回復を図る相談員の動きについて提示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
参加を予定していた質的研究についてのセミナーが、新型コロナウィルス感染への懸念により中止となったため、アウトリーチを行った相談員の体験について質的分析が難しくなった。そのため、1年間の期間延長を申請し受理された。期間延長を受けたことから、この区分とした。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は、質的研究セミナーを経て、投稿論文や報告書にまとめていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
参加を予定していた質的研究についてのセミナーが新型コロナウィルス感染への懸念により中止となり、予定していた分析が難しくなったため、1年の期間延長を申請した。最終報告書作成分として計上していた予算を残しており、次年度は報告書を作成し、その印刷費として使用する予定である。
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