研究課題/領域番号 |
17K04417
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
竹田 伸也 鳥取大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00441569)
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研究分担者 |
中山 繁生 米子工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (90300607)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 介護職員 / メンタルヘルス / 主観的幸福感 / 快行動 / 対処行動 |
研究実績の概要 |
平成29年度では,まず介護職員の主観的幸福感および勤務年数と職場での行動との関連について検討した.高齢者介護事業所に勤めている介護職員143人を解析の対象とした.勤務年数,夜勤の有無,職場で楽しく働くために実践していること(快行動),職場で嫌なことがあった時にしている対処(対処行動),日本版主観的幸福感尺度(SHS;島井ら,2004)について尋ねた.このうち,快行動と対処行動は自由回答により挙げた個数を,SHSは合計点を指標とした.SHSをパーセンタイルに応じてSHS低群・中群・高群の3群に,勤務年数を10年未満と10年以上の2群に分けた.SHS,勤務年数,夜勤の有無を独立変数,快行動および対処行動を従属変数として,3要因分散分析を行った. 快行動ではSHSの主効果が有意傾向であり,SHS低群よりもSHS高群の快行動が多かった.夜勤の有無の主効果が有意であり,夜勤がない群よりもある群の快行動が少なかった.交互作用が有意であり,SHS低群でいずれの勤務年数群においても夜勤がない群よりも夜勤がある群の快行動が少なかった.一方,対処行動ではSHSの主効果が有意傾向であり,SHS低群よりもSHS高群の対処行動が多かった. 本年度実施した研究結果より,職場での快行動が多いほど介護職員の主観的幸福感が高まることが示唆された.本研究から,介護職員のメンタルヘルス向上に向けて,職場での快行動のレパートリーを広げることが重要であることがより明らかとなった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29度は,介護職員の精神的健康度と行動的特徴等の関連について検討することを主な目的としていた。そのために,介護現場で体験しやすいストレッサーと快体験,それらの場面でのコーピング等についてレビューを詳細に行った後に,介護職員を対象に精神的健康度と職場内での行動の関連について調査研究することとした。これらの課題が概ね達成できたので,当該評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,精神的健康度の高い介護職員が採用している職場内方略について,平成29年度に得た自由回答を質的に分析することによって明らかにする。その後,現場で働く介護職員の精神的健康度を高め得るストレスマネジメントプログラムを作成する。プログラムは,認知行動療法を援用し,介護職員が多忙な業務のなかで無理なく実施できる認容性の高い内容を検討する。 プログラムの原案が完成すると,分担研究者とともにそのプログラムを介護職員がいつでも自分の都合のよい時に実践できるように,スマートフォンアプリを用いてストレスマネジメントプログラムを開発する。開発後は,少数の介護職員を対象に試験試用し,操作性に問題がないか検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度は、国内学会等で当該課題についての情報収集を行う予定でいたが、当該年度の研究進捗状況から出張の頻度が減ったため、当該助成金が生じた。 平成30年度は当該助成金を国内外の学会等での資料収集および成果発表のための旅費として充てる予定とする。
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