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2019 年度 実施状況報告書

がん医療に従事する看護師の共感疲労予防に向けた教育ツールの開発

研究課題

研究課題/領域番号 17K04420
研究機関徳島大学

研究代表者

福森 崇貴  徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(社会総合科学域), 准教授 (50453402)

研究分担者 浅井 真理子  帝京平成大学, 臨床心理学研究科, 准教授 (50581790)
白井 由紀  京都大学, 医学研究科, 准教授 (30587382)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2021-03-31
キーワード共感疲労 / がん医療 / 看護師 / 二次的トラウマティック・ストレス / 国際情報交換
研究実績の概要

本研究は,がん医療に従事する看護師の共感疲労(compassion fatigue)予防に焦点を当て行われるものである。その目的は,1.患者のがんにまつわる出来事及びそれに対する看護師の認知的反応と,共感疲労との関連について量的検討を行い,共感疲労のリスク要因を特定すること,2.その結果をもとにした教育ツールを開発すること,3.看護師に対して教育ツールを用いた介入を実施し,ツールに対する評価及び効果測定を行うこと,の3点である。最終的には,完成した教育ツールを広くがん医療現場に提供し,この領域における看護職の心理的支援システム構築に貢献することを目指す。
令和元年度は,昨年度に引き続き,文献レビュー及び1の研究パートを進めた。具体的には,以下の4点について実施した。(1)「看護師に精神的衝撃をもたらすがん患者の出来事」についての内容分析(content analysis)結果を論文としてまとめ,国際誌(Journal of Pain and Symptom Management)に投稿・掲載された,(2)1の査読プロセスでのレビュアー・コメントに基づいてカテゴリー構成の一部を修正し,調査研究にて使用する尺度項目に反映させた,(3)尺度項目について,がん医療に関連する専門看護師1名および認定看護師2名からエキスパート・オピニオンを聴取し,その結果から,「自立性の喪失」および「家庭・職場での役割の喪失」に関わる出来事2つ(2項目)の追加を行った,(4)1~3により作成された尺度を含めた質問紙を作成し,所属機関の倫理審査委員会への申請書類作成を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

量的検討パートについて,当研究班が行ったこれまでの研究との一貫性を確保するためには,量的研究にて使用される尺度項目の元となる,カテゴリー構成についての質的研究の査読結果を待つ必要があった。しかし,査読および研究公表までに時間を要し,当初の予定通りに量的研究を進めることが困難となった。さらに,カテゴリー構成確定の後,項目追加の必要性の有無を検討するためにエキスパート・オピニオンの聴取を行う必要もあったが,それにも当初の想定を超える時間を要した。

今後の研究の推進方策

令和2年度には,まず,早急に,共感疲労のリスク要因特定のための質問紙調査を実施し,解析を完了させる。次に,解析結果を踏まえ,共感疲労予防のための教育ツールを作成する。最後に,教育ツールの効果検証に入る。以上を,令和2年度中に終える予定であるが,ここまでの研究の遅れおよび新型コロナウィルスの影響もあり,調査および効果検証が予定通りに進まない可能性もある。その場合は,期間延長を申請することも考えている。

次年度使用額が生じた理由

令和元年度には,量的検討(質問紙調査)に向けた研究分担者との打ち合わせ会議,調査実施施設への研究内容説明と調査実施,および関連書籍・物品の購入を予定していたが,研究計画の一部に遅れが生じ,一定の未使用額が発生した。そのため,次年度において,未実施パートに令和元年度の未使用額を使用することとする。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 3件) 図書 (3件)

  • [雑誌論文] Traumatic Events Among Cancer Patients That Lead to Compassion Fatigue in Nurses: A Qualitative Study2020

    • 著者名/発表者名
      Fukumori Takaki、Miyazaki Atsuko、Takaba Chihiro、Taniguchi Saki、Asai Mariko
    • 雑誌名

      Journal of Pain and Symptom Management

      巻: 59 ページ: 254~260

    • DOI

      https://doi.org/10.1016/j.jpainsymman.2019.09.026

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Pilot study of a basic individualized cognitive behavioral therapy program for chronic pain in Japan2020

    • 著者名/発表者名
      Hosogoshi Hiroki、Iwasa Kazunori、Fukumori Takaki、Takagishi Yuriko、Takebayashi Yoshitake、Adachi Tomonori、Oe Yuki、Tairako Yukino、Takao Yumiko、Nishie Hiroyuki、Kanie Ayako、Kitahara Masaki、Enomoto Kiyoka、Ishii Hirono、Shinmei Issei、Horikoshi Masaru、Shibata Masahiko
    • 雑誌名

      BioPsychoSocial Medicine

      巻: 14 ページ: 6~6

    • DOI

      https://doi.org/10.1186/s13030-020-00176-w

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 特集 医療現場での怒り-どのように評価しどのように対応するべきか 患者の怒りのマネジメント2019

    • 著者名/発表者名
      福森 崇貴
    • 雑誌名

      精神医学

      巻: 61 ページ: 1325~1333

    • DOI

      https://doi.org/10.11477/mf.1405205939

  • [学会発表] がん医療チーム内の人間関係をどう「見立て」るか?2019

    • 著者名/発表者名
      笹良剛史, 福森崇貴, 加藤真樹子, 谷口敏淳, 宮﨑厚子
    • 学会等名
      第32回日本サイコオンコロジー学会総会
    • 招待講演
  • [学会発表] がん治療とコミュニケーションスキル2019

    • 著者名/発表者名
      井上 大輔, 明智 龍男, 下山 理史, 藤森 麻衣子, 白井 由紀, 森 雅紀, 内富 庸介
    • 学会等名
      第57回日本癌治療学会学術集会
    • 招待講演
  • [学会発表] サイコオンコロジー:がん治療の進歩によって患者・医療者間のコミュニケーションは変化したのか2019

    • 著者名/発表者名
      清水 研, 高橋 孝郎, 藤阪 保仁, 白井 由紀, 吉田 沙蘭, 藤森 麻衣子
    • 学会等名
      第17回日本臨床腫瘍学会学術集会
    • 招待講演
  • [図書] 系統看護学講座 別巻 緩和ケア 第3版2020

    • 著者名/発表者名
      恒藤 暁,田村恵子,白井由紀
    • 総ページ数
      296
    • 出版者
      医学書院
    • ISBN
      978-4260038652
  • [図書] 慢性痛の認知行動療法―RCT版2019

    • 著者名/発表者名
      堀越勝 監修, 細越寛樹, 岩佐和典, 福森崇貴
    • 総ページ数
      95
    • 出版者
      株式会社アノック/トライ
  • [図書] 専門家をめざす人のための緩和医療学(改訂第2版)2019

    • 著者名/発表者名
      日本緩和医療学会 編, 白井由紀(第Ⅴ章担当)
    • 総ページ数
      468
    • 出版者
      南江堂
    • ISBN
      978-4-524-24165-1

URL: 

公開日: 2021-01-27  

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