最終年度は、高齢者の万引き防止のために、店舗への万引き防止教育の実践と万引き防止のための大学生による買い物支援を行い、その効果の検証を行った。現在急増する高齢者の万引きに対して声かけによる未然防止の重要性が指摘されていることから、声かけによる万引きの未然防止を普及させるために、店員向けの万引き防止教育を実践し、その効果について検証を行った。その結果、店員を対象としたアンケート調査からは、店員の万引き防止教育の効果が示唆され、防犯意識とホスピタリティがつながっていることが明らかとなった。役職者を対象としたアンケート調査からは、ホットスポットの減少や店舗全体の防犯意識の向上といったように店内の様子の変化を実感し、接客態度の向上や店内巡回の増加、情報共有の増加といったように従業員の変化も実感していることが明らかとなった。また、高齢者の万引きの主たる要因である社会的孤立や寂寥感の解消のために、大学生による店舗での買い物支援とその教育効果について検証を行った。その結果、店舗での買い物支援によって大学生の防犯意識が向上することが明らかとなった。加えて、大学生は買い物支援の効果的な方法としては、主に話し相手となることを考えていることが明らかとなり、大学生は買い物支援の効果としては、主に「孤独感の解消」を考えていることが明らかとなった。さらに、これまでの研究の成果を踏まえ、高齢者の万引き防止のために、高齢者向けの万引きの再犯防止パンフレットと高齢者の家族向けの万引きの再犯防止パンフレットを作成した。
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