研究課題/領域番号 |
17K04426
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
池田 望 札幌医科大学, 保健医療学部, 教授 (00274944)
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研究分担者 |
大山 恭史 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (80356675)
森元 隆文 札幌医科大学, 保健医療学部, 講師 (60516730)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | メタ認知 / 尺度 / ASD / 成人期 / 就労支援 |
研究実績の概要 |
1.本研究の目的と令和年度の作業予定 メタ認知尺度試作版の項目を引き続き検討し、作成後の内容妥当性等について検討する。また、併せてASDの就労支援に活用できるメタ認知トレーニングの開発を継続する。 2 .実施結果 メタ認知尺度の項目作成に向け、継続して三宮の分類に基づき「人間の認知特性についての知識」、および「メタ認知モニタリング」と「メタ認知的コントロール」に該当する尺度項目の抽出と整理を実施した。その結果、メタ認知活動に限定した二次元、つまり「メタ認知モニタリング」と「メタ認知的コントロール」からなる尺度を想定し、該当する項目の整理を行った。整理に当たっては、すでに得ているASD当事者のインタビューデータから就労場面に係る発言データを参照したほか、ASDの障害特性に関する文献を精査したうえで上記二つの次元を表現するワーディングを検討した。すでに因子分析および信頼性の検討に向けた調査段階となっている。 一方、併せて就労支援を目的としたメタ認知トレーニング法の開発を継続した。開発に当たっては、既存のトレーニング法として、統合失調症を対象としたメタ認知トレーニングMetacognitive Training(MCT)、うつ病を対象としたD-MCT、および自己調節実行機能モデル(Self- Regulatory Executive Function Model:S- REF)に基づくメタ認知療法(Metacognitive. Therapy:MCT)等を参照し、プログラムの作成を進めた。具体的には、先の既存のプログラムを参照しながら、ASDの診断基準や障害特性を踏まえて、全体構成を検討するとともに、特に障害を受けやすい心の理論(Theory of Mind)を扱うプログラムを中心に検討を進めた。また、併せてプログラムの視覚刺激として使用する画像素材を選定する作業を、著作権法に準拠しながら行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
妥当性のある尺度構成の検討に時間を要した。しかし、時間をかけたこともあり、拙速にならず、ある程度妥当性を担保することができたと考えている。併せて実施したメタ認知トレーニング内容の検討についても少なからず進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
抽出した尺度項目の検証を進める。具体的には予備データの収集とG-P分析、因子分析等を踏まえての項目の最終決定、信頼性・妥当性の検討を進めていきたい。対象は大学の学生を中心に広く募集する予定である。また、メタ認知トレーニングプログラムの検討をさらに進め、具体化していく。これらの作業を同時に進めることにより効率的に検証作業を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
尺度作成、およびメタ認知トレーニングプログラムの検証作業にともなく協力者への謝金等が進捗状況を踏まえてほぼ発生しなかったこと、また予定していた学会発表等の旅費に使用する費用が減少したことによる。次年度は最終年度でもあり、集中的に研究開発を進め、必要となる費用の執行を随時進めていく予定である。
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