研究課題/領域番号 |
17K04427
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
三澤 文紀 福島県立医科大学, 看護学部, 教授 (00438607)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ストレス予防 / 看護学生 / 心理療法の応用 |
研究実績の概要 |
大学の看護系学部や看護系専門学校で学ぶ学生(以下、看護学生)は、高いストレスを経験していることが指摘されている。本研究では、一般の看護学生が個人で日常的に継続して利用可能で、かつストレス低減に効果のある新しい心理学的方法の開発を目的とした。具体的には、ウェブサイト上で日常的に個人が利用可能なストレス低減ツールの開発を目指した。初年度に当たる平成29年度は、申請予算額の削減による研究計画の大幅な見直しや、委託業者の選定に時間がかかったことにより、研究の進捗は大きく遅れた。翌平成30年度は、認知行動療法と解決志向アプローチに基づくサイト、並びに統制群のサイト、合計3種類のサイトの第1版を完成させ、少数の研究参加者に対し、各サイトのいずれか1つを使用する予備的研究(3群設定)を実施した。その結果、一部のサイトの利用でストレス低減が見られたと同時に、サイトのパスワード入力が不評である等、参加者から使いにくさの報告が多数あった。 そこで令和元年度は、スマートフォンからはアプリで簡単にサイトへログインできるようにし、サイトの表示を変更してサイト第2版を作成するなど、使いやすさの改善を図った。その上で、前年度同様の3種類のサイトのいずれか1つを利用する3群を設定し、研究参加者人数を増やして検証を行った(分析対象59名)。その結果の分析は進行中である。今のところ、一部でストレスのコントロール可能性の感覚が増大するなどの変化が見られた。ストレス低減については、同じ群内の参加者間のばらつきが大きかった。また、参加者からはアプリ(サイト)の利用を忘れてしまう、一定期間で入力することが見つからなくなる等の報告があり、加えてアクセス状況のデータから、開始から30日以降で利用回数が大きく減少することが確認された。利便性の向上、特に長期的な利用の促進のために、更なる改善の必要性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
初年度、申請予算額の削減による研究計画の大幅な見通しを余儀なくされた。また、サイト制作の予算が不足し、複数年度の予算を合算する必要があったため、次年度支払に応じてくれる業者を探す時間もかかった。入札による業者の選定で見積書の提出を1ヶ月ほど延期した業者がいたこと等の事情も重なり、初年度の遅れは大幅なものになった。 平成30年度は初年度と比較すると順調に進んだものの、初年度の遅れを挽回するまでには至らなかった。加えて、サイトの内容の問題ではなく、サイトでパスワードを入力することが参加者とって負担であるという想定外の問題が生じたため、再度サイトを改良する必要が生じた。 令和元年度は、サイトの改良で多少の遅れはあったものの、これまで以上に順調に進んだ。しかし、初年度の遅れを挽回するまでには至らなかった。 以上により、現時点でも進捗状況は遅れているとした。
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今後の研究の推進方策 |
これまで、スマートフォンのアプリにするなど利用しやすさの改善を進めたものの、入力を忘れる等々の使いづらさが参加者から報告され、実際に30日を過ぎると利用が減少するなどの状況が見られる。使いやすさについて、これまで以上に改善を図る必要がある。まずは、既に得られている研究参加者の使用状況のデータや報告をもとに、アラーム機能の新設や新しい記入方法の採用といった改良を行う。その上で、改良された新しいアプリ(サイト)について比較的少数の研究参加者に利用してもらう。研究参加者には利用期間中複数回インタビューし、利用状況や利用上の利点・欠点等について尋ね、その語られた内容をもとに一層の改善を図る。そうして使いやすさを向上させたアプリ(サイト)について、効果検証を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度の研究の遅れに伴い、参加者への謝礼やサイト改良費などの予算の使用に遅れが生じたままの状態が継続しており、次年度使用額が生じている。次年度はサイト改良と参加者を集めた研究を実施予定であり、多くの予算を使用する予定である。なお、新型コロナウイルス流行の状況によっては、研究の更なる遅れが懸念されることから、適宜計画を見直すこととする。
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