大学の看護系学部や看護系専門学校で学ぶ学生(以下、看護学生)は、高いストレスを経験していることが指摘されている。本研究では、一般の看護学生が個人で日常的に継続して利用可能で、かつストレス低減に効果のある新しい心理学的方法の開発を目的とした。具体的には、ウェブサイト上で日常的に個人が利用可能なストレス低減ツールの開発を目指した。初年度に当たる平成29年度から昨年度までに、認知行動療法と解決志向アプローチに基づくツール、並びに統制群のツール、合計3種類のツールを開発し、一部機能をスマートフォンのアプリケーションにするなど、利便性の改善を進めた。その上で、前年度同様の3種類のサイトのいずれか1つを利用する3群を設定し、研究参加者人数を増やして検証を行った(分析対象59名)。その結果、一部でストレスのコントロール可能性の感覚が増大するなどの変化が見られたものの、サイトを利用することによるストレス反応の低減効果は確認できなかった。この原因の1つには、継続的に利用してもらえないことが考えられ、利便性向上のためには更なる改善の必要性が示唆された。令和2年度は、継続的利用を促進するための工夫として、日記形式で記入できるなどの変更をツールに加えた上で、試験的に少数の対象者に利用を求めた。その結果、継続的利用をしやすくなったと感想を述べる対象者がいる一方で、継続的に利用できなかった対象者もいた。今後は、継続的利用によって効果が見込まれる機能だけでなく、困った瞬間に短期的に利用することでストレス低減効果が見込まれる機能についても研究する必要性が考えられる。
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