研究課題
「社会福祉施設の人材確保・育成に関する調査報告書」(全国社会福祉協議会社会福祉制度・予算対策委員会施設部会,2008)によると、児童養護施設における離職者の 51.7%が 30 歳までの比較的若い層であり、離職者の在籍年数は「1~3年未満」「3~5年未満」「5~10年未満」が 23.1%、 23.3%、28.9%と、新人はもとより、スタッフが中堅として施設運営に携わるまでに約8割が離職するという非常事が示されている。本研究では、全国47の研究協力施設に「職務状況調査」というタイトルの質問紙調査を実施した。1~3年目までを「新人スタッフ」とし、新人スタッフには年に2回、比較群として全スタッフへの調査を年1回行った。「職務状況調査」はこれまでの尺度を児童養護施設に即した文言に入れ替え、職業性ストレス尺度、有能感尺度、バーンアウト尺度などを用いた。ここまでの研究からは、れまでの分析から、有能感は1年目から3年目まであまり差がなく、職業性ストレスとバーンアウトは1年目より、2・3 年目のスタッフが強く感じていると言うことが明らかとなった(統計的にも有意)。さらに、バーンアウト尺度得点を高い群(高群)、低い群(低群)に分けて分析したところ、高群では約7割の者が「今の仕事を辞めたい」と回答した。次に職業性ストレス尺度得点の高群、低群をそれぞれ分析したところ、いずれの群にも「今の仕事を辞めたい」と思う者がほぼ同じ割合でいた。これらを踏まえると、バーンアウトしかけてからのアプローチでは離職を止めることができない可能性があり、ストレスを抱えている状況での 介入が必要と考えられる。ただ、本研究では高ストレスの者は、逆に周囲、とくに上司を頼りにしない傾向にあることが明らかになった。また、自由記述の分析では、離職と女性のライフサイクルの関連が示された。
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