身近な親密な者との死別は,遺された人々に強い心理的衝撃を与える場合があり,健康上の問題に発展することもある。本研究では,こうした死別に伴う悲嘆プロセスにおいて近年注目されている「継続する絆」という概念を再検討することを目的とした。「継続する絆」のあり方には文化の影響が大きく反映することが想定され,本来は日本においてみられる現象として欧米で取り上げられたものの,改めて独自の「継続する絆」のあり方として日本文化を念頭において検討する必要があると考えられる。我が国において親密な人を喪った後に遺された人々は,死別経験後故人とどのようなプロセスでどのような関係を築いていくのかを明らかにし,実証的検証に基づいた我が国における新たな悲嘆理論の構築を目指す。 まずは我が国における「継続する絆」についての概念分析を行い,その結果に基づいて,仮説モデルを再検討した。概念分析では,概念分析は,1概念を選択する,2分析の狙いまたは目的を決定する,3選択した概念について発見したすべての用法を明らかにする,4選択した概念を定義づける属性を明らかにする,5モデル例を明らかにする,6補足例を明らかにする,7先行要因と結果(帰結)を明らかにする,8経験的指示対象を明らかにする,の8段階から成っている。 今年度は概念分析の結果を改めて精査し,文献を追加したうえで,概念分析に詳しい専門家に指導を受けながら,まとめ直した。その結果をもとに実証的検討を行う予定であったが,本務の業務が多忙なため,調査計画は検討したものの,実施には至っていない。実施については改めて可能な形を検討する予定である。
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