研究課題/領域番号 |
17K04433
|
研究機関 | 札幌学院大学 |
研究代表者 |
宮崎 友香 札幌学院大学, 心理学部, 准教授 (30453286)
|
研究分担者 |
田澤 安弘 北星学園大学, 社会福祉学部, 教授 (50360962)
橋本 忠行 香川大学, 医学部, 教授 (80320000)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 治療的アセスメント短縮版 / 愛着 / RCT |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,Finn(1997,2007)が考案した欧米で臨床的有効性が確認され普及が進んでいる治療的アセスメントの本邦導入に際し,本邦の医療体制や心理臨床業務の現状に合った短縮版を作成し,その効果検証を行うことである。本邦においてRCT(Randomized Controlled Trial;無作為化比較対照試験)研究が行われていない領域であり,本研究ではRCT研究を行い実証的な知見を提示する。また対象者の愛着スタイルに応じた治療的アセスメントの適用と効果についても明らかにする。
本研究は,研究1から研究4までの4つの研究で構成されており,そのうち令和元年度では,平成30年度から引き続き,研究1,2の実施と統計解析を行う計画であった。計画通りに実施することができ、治療的アセスメント群14名,伝統的アセスメント群18名への実施と統計解析も完了した。さらに,本研究成果公表につき,令和2年度に行われる日本心理臨床学会の口頭発表の申し込みを済ませるところまで令和元年度に行うことができ,順調に研究を進められた。 現時点での研究結果としては,伝統的アセスメント群よりも治療的アセスメント群の方が研究協力者の「肯定感」を促進するアセスメントが行われていたことが示され,TAの効果が示唆された(面接評価尺度SEQ-5(塚本、2010)の下位尺度を従属変数,セッションと群を独立変数とする二元配置の分散分析を行った結果,「肯定感」において群の主効果に有意差有,F(2,60)=5.230,p<.05,ηp2=.086)。研究1,2は継続して実施する予定であるため,今後は残りのデータを加えて統計解析を行い,さらに治療的アセスメント短縮版の効果検証を進める。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和元年度は,研究1,2を順調に実施することができ,統計解析も済ませ,公表の手続きまで行うことができた。4年間の本科学研究費助成事業のうち,3年経過したところで研究1,2をほぼ完了することができており,研究がおおむね順調に進展していると言える。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は,令和2年度には,申請通り日本心理臨床学会で口頭発表を行う。また,研究1,2は各群30名までの実施を令和元年度に予定していたが,コロナウィルス感染拡大により研究実施が不可能となり,研究が止まっている状況である。研究実施機関である札幌学院大学,及び香川大学では,令和2年度前期期間は遠隔授業実施のため,研究協力者である大学生への研究実施が困難な状況が続いている。令和2年度後期からは,コロナウィルス感染拡大の情勢をみて,研究を再開する。今年度が研究の最終年度につき,情勢次第では,1年間の研究延長申請を検討する。 情勢をみながらではあるが,今後は研究1,2の残りを実施し,全データ揃ったところで統計解析を行い,学術論文にまとめる。また,研究1,2で治療的アセスメント短縮版の効果が実証された場合,より効果的な治療的アセスメント短縮版と実施マニュアルを完成させて,研究3,4を実施する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
令和元年度は途中まで研究を実施することができたが,コロナウィルス感染拡大につき,集中して研究を実施する予定だった時期に実施ができなくなり,その分の研究実施協力者への謝金,及び研究参加協力者への謝礼(図書カード)の支出が無くなった。次年度には研究1,2の残りの研究実施に伴う謝金・謝礼,及び研究3,4の実施に伴う謝金・謝礼,日本心理臨床学会における成果公表の出張費とまとまった額の支出が控えており,今年度分を次年度使用額にまわして使用する必要が生じた。
|