研究課題
本研究は,舌痛症患者の中で症状満足度が改善しにくい患者を明らかにする方法の確立を目指すとともに,当該患者に対する介入方法の確立を目指すものである。本年度は,症状満足度が改善しにくい舌痛症患者の満足度に関連する要因の検討を縦断研究を用いて行った。歯科医師によってBMSと診断された22名(女性17名,男性5名,年齢60.55±16.04歳)およびBMS以外の歯科心身症患者17名(女性16名,年齢59.82±15.12歳)を対象とし,初診時にSIUSおよびVAS,3ヶ月後にVASおよびPGICへの回答を求めた。BMS患者で相関分析を行った結果,VASの変化とPGICには有意な正の相関がみられた(r=0.47,p=0.029)。SIUSの強さによって対象者を2群に分け,VASの変化とPGICの関連を検討した結果,SIUSの高い患者ではVASの変化とPGICは正の相関が得られ(r=0.69, p=0.039),痛みの改善が大きいほど患者の症状改善の評価は高かったが,SIUSの低い患者ではこの関連はみられず,VASの変化と症状改善の評価には関連はみられなかった(r=0.37, p=0.213)。BMS以外の歯科心身症患者で同様の分析を行った結果,VASの変化と症状満足度には有意な相関はみられなかった(r=0.21, p=0.438)。この結果は,前年度の横断研究で得られた結果と一致しており,症状満足度には不確かさ不耐性が関連することが縦断研究によって確認された。次年度は,不確かさ不耐性の変化によって,痛みと症状満足度との関連に変化が生じるか検討するとともに,不確かさ不耐性を修正する認知行動療法プログラムの作成を試みる。
2: おおむね順調に進展している
舌痛症患者の症状満足度に不確かさ不耐性が及ぼす影響を縦断研究によって明らかにできたためおおむね順調に進んでいる。
不確かさ不耐性の変化によって,症状と症状満足度との関連に変化が生じるか検討するとともに,不確かさ不耐性を修正する認知行動療法プログラムの作成を試みる。
本年度に行う予定であった成果発表を来年度に行うこととしたため。
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BioPsychoSocial Medicine
巻: 13 ページ: 1
10.1186/s13030-019-0142-7
北海道医療大学歯学会雑誌
巻: 37 ページ: 127-132