研究課題
本研究は,舌痛症患者の中で症状満足度が改善しにくい患者を明らかにする方法の確立を目指すとともに,当該患者に対する介入方法の確立を目指すものである。本年度は,舌痛症患者の満足度を予測する不確実さ不耐性の変化によって,舌痛症患者の症状がどのような影響を受けるかを検討することであった。歯科医師によって歯科心身症と診断された患者のうち,初診および6ヶ月後の調査に回答がえられた舌痛症患者19名(女性16名,男性3名,年齢62.95±13.68歳)およびそれ以外の歯科心身症患者19名(女性16名,男性3名,年齢57.47±13.17歳)を対象とした。調査項目は,VASおよび不確実さ不耐性(Short Intolerance of Uncertainty Scale)であり,初診時と6ヶ月後に回答を求めた。舌痛症およびそれ以外の歯科心身症患者において,SIUSがVASと関連するか検討したところ,舌痛症ではSIUSは初診時のVASと有意な正の相関が確認され(r=0.69),SIUSの変化が6ヶ月後(r=-0.47)およびVASの変化(r=0.45)と有意な関連がみられたが,歯科心身患者ではこうした相関はみられなかった。初診時のVASを統制するために,偏相関分析を行った結果,SIUSの変化がVASの変化と有意に関連することが明らかになった(r= 0.47)。このことから,SIUSを治療を通して改善させることによって,痛みを改善させることが可能であることが示唆された。前年度および今年度の調査研究から,SIUSを変化させることが,舌痛症患者の症状を改善させ満足度および治療関係を向上させることが示唆されたが,実際に不確実さ不耐性を改善させるプログラムを舌痛症患者に実施した結果,症状の改善および治療満足度の向上が観察された。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件)
日本歯科心身医学会雑誌
巻: 34 ページ: 41-44
巻: 34 ページ: 45-47
Oral Diseases
巻: 26 ページ: 193~199
10.1111/odi.13226