研究課題/領域番号 |
17K04435
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研究機関 | 札幌国際大学 |
研究代表者 |
高野 創子 札幌国際大学, 人文学部, 講師 (00746589)
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研究分担者 |
平野 直己 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (80281864)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 不登校 / 仲間 / 地域 / 回復 / 教育 / 地域 / 医療 |
研究実績の概要 |
本研究では、不登校児童生徒に対する「居場所」を提供する施設・団体についてインタビュー調査を行なうことを通して、教育、医療、福祉の領域による方法論の違いや回復プロセスを明らかにすることを目的としている。昨年度の実施は下記の通りである。 【①教育分野における支援施設での実践調査】施設・プログラムの見学とスタッフに対する集団インタビュー調査を実施した。収集したデータの分析から教育分野における授業の枠組みを利用した仲間づくりの工夫と、仲間との関わりから変化の見られた事例の回復プロセスについてモデル化を試みた。【②医療分野における支援施設での実践調査】【③福祉分野における支援施設での実践調査】施設見学と子どもたちの様子を観察した上でスタッフを対象とした集団インタビュー調査を実施し、逐語録の作成に留まった。 昨年度の上記調査を踏まえた今年度の研究実績は下記の通りである。 ①の研究結果を6月下旬に行われた日本思春期青年期精神医学会第31回年次大会・国際思春期青年期精神医学・心理学会第2回アジア地区大会にてポスター発表を行なった。分析方法や、回復の過程のモデル化についての表現方法についてディスカッションを深めた。②③について調査データを整理し、それぞれ分析を行い研究結果をまとめた。次年度6月に開催予定の日本心理臨床学会第38回大会にそれぞれポスター発表として抄録作成も含めエントリーの手続きを行った。④【教育分野における支援施設(公立校)での実践調査】10月に施設見学とスタッフに対する集団インタビュー調査を実施した。昨年度の調査の結果分析と発表準備に時間を要したため本調査は収集したデータの逐語録の作成にとどまった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
昨年度は「研究実績の概要」に示した研究目的に沿って進めた。今年度はそれらの研究結果を分析し、調査結果を発表するに至った。発表を通して、フロアから様々な助言を得たことで、対象年齢を含む調査方法について検討する必要性が生じ、今後の調査対象の選出方法などを検討することに時間を要し、当初の実施計画を修正せざるを得なかった。調査結果の報告(学会発表)については、エントリーが半年以上前から必要である学会の特性上、一本にとどまったが、次年度これまでの調査データ3本について発表予定である。
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今後の研究の推進方策 |
これまで調査を行ってきた3領域の施設の調査結果から、それぞれ領域の違いにより若干の違いはあるものの、「不登校の回復」の意味するところは、原籍校への復帰にこだわらずに地域を含む「社会」で人とのつながりの中で生きていけるようになることを「回復」とみなす傾向が示唆された。昨年度は児童・思春期を対象とした調査を行い、当該年度は高校生などのハイティーンを対象とした調査を行う予定であったが、児童・思春期を対象とした施設について同領域内で複数の施設の取り組みを比較する必要性を感じ、今年度の調査も児童・思春期を対象とした調査にとどまった。発達段階によって回復過程にどのような違いがあるかを見出すことを目的とした研究計画であったが、各領域の一つの施設だけを抽出して回復過程とみなすには、説得力にかけるため、次年度も同年齢施設を調査対象とし、研究をすすめて報告する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
「研究実績の概要」にて報告した通り、調査方法の再検討から調査施設の再選定に時間を要したため、そのための渡航費が繰り越しとなった。加えて次年度にすでに発表エントリーを行っている学会発表のための渡航費として使用する予定である。
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