令和3年度は、令和2年に回収したデータを分析し、日本心理学会第85回大会で発表した。 データは2回にわたる縦断調査において収集した。第1回調査は令和2年12月に実施し(Time1)、第2回調査は令和3年年1月に実施した(Time2)。調査内容は、SNS利用歴、過去1週間当たりのSNS利用状況、過去1か月間の他者からの受容経験と拒絶経験、SNS利用に関する規範意識とSNS上での攻撃行動であった。 SNS上での攻撃行動とその他の変数との因果関係を検討するために、交差遅れ効果モデルを用いて男女ごとに分析を行ったところ、男女ともに過去1か月に人に受け入れられた経験による影響を低く見積もる人ほど、2回目の調査時にSNS上での攻撃行動が多いことが分かった。また、1回目の調査時に規範意識が低い男性ほど2回目の調査時のSNS上での攻撃行動が少ないことが分かった。これらの結果より、現実場面での他者からの排除や規範意識の低さが、SNS上での攻撃行動を促進させる可能性が示唆された。
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