研究課題
DSM-5でうつ病性障害もしくは双極性障害と診断されている患者およびその家族を対象に、自己記入式の軽躁症状スクリーニング尺度であるHypomania Check List-33(HCL-33)および家族などのキーパーソンが記入する他者評価式の軽躁症状スクリーニング尺度であるHypomania Check List-33 External Assessment(HCL-33EA)の日本語版を作成し、内的整合性および妥当性の検討を行った。HCL-33は高い内的整合性を有していた(Cronbach α=0.91)。またHCL-33の得点は双極性障害患者においてうつ病性障害患者よりも有意に高いこと、ROC曲線の曲線下面積(area under the curve; AUC)は0.86(95%信頼区間0.75-0.96)であることから、中等度の正確性でうつ病性障害と双極性障害を分類できることが示唆された。14点以上をカットオフ値としたとき、感度は1.0、特異度は0.65であり、先行研究と同等の有用性を有していることが示された。患者の同居家族が評価したHCL-33EAも高い内的整合性が確認できた(Cronbach α=0.90)。HCL-33EAのAUCは0.73(95%信頼区間0.563-0.891)であり、中等度の正確性でうつ病性障害と双極性障害を分類できることが示唆された。本研究のサンプルではカットオフ値を14点以上が最適であり、このとき感度は0.70、特異度は0.69であった。HCL-33とHCL-33EAには弱い正の相関があり、患者本人が評価するHCL-33は、その同居家族が評価するHCL-33EAよりも得点が高い傾向が示唆された。患者の病識、同居家族との関係など、臨床の状況に応じてHCL-33とHCL-33EAを組み合わせることにより、さらなる有用性が期待できる。
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