研究課題/領域番号 |
17K04444
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研究機関 | 川村学園女子大学 |
研究代表者 |
佐藤 哲康 川村学園女子大学, 文学部, 准教授 (60637867)
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研究分担者 |
田中 裕 川村学園女子大学, 文学部, 教授 (40255196)
松原 由枝 川村学園女子大学, 文学部, 教授 (90211573)
政本 香 松山東雲女子大学, 人文科学部, 准教授 (20454895)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 攻撃性 / 不安 / 心理アセスメント / アサーション / 心理教育 / 心身反応 / リラクセーション |
研究実績の概要 |
平成30年度の研究計画は①不安喚起のプロセスと自己表現を阻害・促進する要因に関する調査結果の分析、②対人葛藤場面における自己表現と心身反応の把握であった。不安喚起のプロセスと自己表現を阻害・促進する要因では以下の研究成果を発表した。 1)攻撃性と不安への心理教育では、攻撃性‐積極性・活動ラインは平均的で一般社会の秩序や常識に合致していることが明らかになった。またソンディ・テストとアサーション・トレーニングを用いた心理教育では、心理アセスメントによって衝動の存在を可視化することで対象者の顕在化していない不適応の誘因を明らかにすることが可能になること、トレーニングを通じて可視化された衝動の理解を深め、怒りの感情や苛立ちをうまくコントロールすることが可能になる。これらの心理教育は円滑な人間関係を形成する有効な手段であり、現代社会におけるストレスへの予防や介入が心身の健康へとつながると考えられる。 2)心身反応の把握については、高齢者に対するタッチケアの心理的リラクセーション効果を検討するための基礎研究を行った。結果として、心拍数および心拍変動(HRV)の低周波(LF)/高周波(HF)成分がタッチケアの前後で有意に低減した。また素手よりもグローブを着用したタッチケアの方が主観的なリラックス感が高まることが明らかになった。 高齢者に対するタッチケアには交感神経系を沈める効果があること、素手による直接的なタッチケアよりもグローブ着用による間接的なタッチケアがリラックス状態を感じやすいことが示唆された。これらはタッチケアの有用性と同時に、高齢者介護で今後求められるであろうグローブを着用したケアの効果が確認されたと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度計画していた不安喚起のプロセスと自己表現を阻害・促進する要因に関する調査結果の分析は概ね順調に進展し、研究実績して発表することができた。 一方、対人葛藤場面における自己表現と心身反応の把握がやや遅れている。現在、予備実験の結果を参考に対人葛藤場面における自己表現と心身反応の把握に必要となる評価測度(心拍・血圧・心電図・精神性発汗・アミラーゼ・瞬目)を精査する段階にあり、次年度前半の研究課題になっている。 2019年度に計画しているアサーティブネス・エクササイズ実施による自己表現と心身反応の変化の検討まで研究を進められるように、自己表現と心身反応の把握の早急な研究遂行を達成するための進捗計画を研究分担者と現在再考している。
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今後の研究の推進方策 |
予定されている当初の研究計画に従い、2019年度は①対人葛藤場面における自己表現と心身反応の把握、②アサーティブネス・エクササイズ実施による自己表現と心身反応の変化の検討を行う。 心身反応の把握は実験協力者自身の自己評定に加え、精査した評価測度を用いて測定する。対人葛藤場面の設定はエクササイズの十分な効果を検討することができる場面を吟味する。 アサーティブネス・エクササイズは小集団を対象に自己表現の不安軽減を目的とした対人葛藤の課題を解決する過程について、研究協力者が対人葛藤場面でどのような自己表現を行うかをアサーティブネスの視点から評定する。エクササイズの具体的なプログラム内容には1)アサーティブネス概論、2)葛藤と不安の付き合い方と対処を取り入れる。 不安軽減の測定は対人葛藤場面、エクササイズ実施の前後に自己評定式の不安尺度および心身反応の測定によって行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度に研究を予定していた対人葛藤場面における自己表現と心身反応の把握の進捗がやや遅れている。予定していた心身反応分析機器と消耗品、分析ワークステーションの購入や実験遂行に必要な人件費が次年度に持ち越しになった。 次年度に必要な購入備品、人件費については見積もりを立てており、年度内の計画的な経費消化は十分可能である。
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