7組目のメタ・スーパーヴィジョンを実施した。具体的には30代の女性臨床心理士のスーパーヴァイザーと20代女性臨床心理士のスーパーヴァイジーの行う10回のスーパーヴィジョンに関して、3回ごとにメタ・スーパーヴィジョンとして、60代男性臨床心理士が、動画を基に、その事例のアセスメントとスーパーヴィジョンの進め方について指導した。 一連のメタ・スーパーヴィジョン終了後に、参加者に記入してもらった振り返り自由記述の結果として、「バイジーの不安感の低減」、「実践力やその自信の向上」、「得意な技法をクライエントに押し付けるのではなく、クライエントに合わせて技法を選べるようになった」こと、さらには「アセスメント力の向上」などの効果が認識されていた。 また、ヴァイザーにとってのメタ・スーパーヴィジョンは、「ヴァイザーとしての自信の向上」「事例のアセスメント力・ヴァイジーのアセスメント力の向上」「ヴァイジーへのサポート力の向上」などが報告された。また、ヴァイザー(メタ・スーパーヴィジョンを受けた人)は、専門用語を使っての説明と明確化の必要性を感じたとの報告もされた。 質問紙評定の結果は、ヴァイジーにおいては、スーパーヴィジョン満足度は一貫して高く、作業同盟尺度は2回目にやや下がったものの、それ以外は高かった。また、カウンセラー自己肯定感については、「カウンセラーの価値判断の抑制」のみが回を追うごとに低下し、それ以外は漸増していた。ヴァイザーの作業同盟やカウンセラー自己肯定感には大きな変化はなかった。
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