研究課題/領域番号 |
17K04449
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研究機関 | 桜美林大学 |
研究代表者 |
石川 利江 桜美林大学, 大学院 心理学研究科, 教授 (20222979)
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研究分担者 |
松田 与理子 桜美林大学, 健康福祉学群, 准教授 (50649184)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | コーチング / 女性 / 就労 |
研究実績の概要 |
2019年度において、女性の再就労と関連する要因を検討するために調査会社に委託して2回の調査を行った。結婚や出産のために一度離職し、ここ3年以内に再就職のための活動を行った20代から40代までの女性600名を対象として調査を行った。調査対象者の内訳は1回目の調査時点で再就職した者300名、再就職活動中の者200名、再就職活動をやめた者100名とし、その相違を検討した。セルフコ―チング尺度だけでなく、新たにプロアクティブコーピングについても検討を行った。加えて、再就職をしようとしたきっかけ、再就職活動の妨げになった事とそれへの対処、今回の再就職活動で実際に役立ったこと、再就職活動で役立つだろうと思うこと、再就職しなかった対象者のみには再就職を辞めた理由についても自由記述式回答を求めた。 その結果、再就職活動におけるセルフコーチングの実施効力感は、現在も再就職活動中群が活動をやめた群に比べ有意に高かった。プロアクティブコーピングも再就職活動中群が最も高い得点を示した。再就職活動の障害要因は、これまでも指摘されていた「子どもの預け先」の問題が最も多かったが、「夫の協力」「マイカー通勤」「時間帯」など周囲のサポートや理解などの状況的要因、「経験や資格がない」「条件が合わない」など具体的な目標設定を明確にした活動の必要性が示された。一方、再就職活動をやめた理由については、「妊娠」「夫の転勤」などが多かったが、「自己の能力不足」「自分に何ができるのかわからない」という自己の強みやリソースへの気づきの不足なども再就職活動を停滞させることが明らかになった。これらの調査結果をもとにセルフコーチングワークシートの修正を試みた。予想されるストレス状況や障害となる課題内容とした目標の再設定、課題解決のためのリソースやオプションの検討を含めたものにした
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初今年度までにはポケットブックの完成を計画していたが、事例収集などが十分でなく、まだワークシートの作成とその修正を行っている。そのためやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
結婚、出産、子育てのために離職した女性が再就職を目指すきっかけは様々であるが、再就職活動が効果的に行われ目標達成につながるためには多くのハードルを乗り越える必要がある。再就職しようという動機づけの維持と目標達成には多様な要因が関連し、多くのサポートが必要である。最終年度に当たる今年度は、これまでの調査や介入結果をより詳細に検討し、効果的な再就職活動の支援の在り方を明確にする。そのための使用できる就労支援を主目的としたセルフコーチングのポケットブックを完成させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
日程調整が難しく当初計画していたアメリカの就労支援団体への聞き取りを遠隔での実施も含めて検討する。セルフコーチングワークシートの活用可能性を向上させるために、研修会での検討や印刷物の作成を行う。
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