研究実績の概要 |
北里大学相模原キャンパス所属の学部生全てを対象に、2017~2019年度の3年間に亘り、こころの健康に関する調査(以下、こころの健康調査)を実施した。本研究は、その調査において、精神健康のスクリーニング尺度として用いたK10の合計得点がカットオフポイントを超えた学生に対して、電話・面接によるアウトリーチ活動を行う臨床実践研究である。心理支援を要する学生を早期に発見し、支援に繋げることを臨床実践の目的にすると共に、この取組によって心理支援を要すると判断された学生の特徴について、横断的・縦断的に分析し、明らかにすることを目指している。 2019年度は、4月1日~4日のガイダンス期間中に、学部・学年ごとにこころの健康調査を実施した。調査対象者は調査時に相模原キャンパスに在籍していた学部生5,274名であり、内4,821名(91.4%)が回答した。K10(0-4点の5件法、10項目)の合計得点が15点以上の学生512名と、学生相談室をすぐに利用したいと回答した学生31名について、心理支援を要する学生と判断した。学生相談室を既に利用している34名と連絡先が不明の12名を除く497名をアウトリーチ活動の対象とした。 アウトリーチ活動結果の内訳は、呼出面接後に継続相談に繋がった学生が85名、呼出面接のみで終了した学生が152名、面談せず電話だけで状態を確認した学生が119名、状態を確認できなかった学生が141名であった。 3年分のデータ収集は予定通り完了し、データクレンジングと欠損データの除外を行い、3年分のデータ整備を行った。様々な分析の観点がある中で、まず新入生に着目し、K10項目と属性との関連を横断的に分析し、入学直後の新入生の精神健康状態と心理支援を要する学生の特徴を把握することを目指した。その内容については、第57回全国大学保健管理研究集会で発表し、現在、論文化を進めている。
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