研究課題/領域番号 |
17K04451
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
生地 新 北里大学, 医療系研究科, 教授 (20185177)
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研究分担者 |
沢 哲司 北里大学, 医療系研究科, 講師 (80756768)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 情緒応答性 / 親子関係 / 発達障害 / 自閉スペクトラム症 / 定型発達 / 子育て支援 |
研究実績の概要 |
平成29・30年度で評価したケースに加えて、令和元年度に新たに、定型発達の子どもとその親のペア1組、発達障害を持つ子どもとその親のペア3組が、研究に参加することに同意し、情緒応答性の評価のための録画と評価を行い、その結果のフィードバックを行った。本研究では、大人の側と子どもの側の情緒応答性を、Biringen Zらの情緒応答性尺度の方法に従って、親子が一緒に楽しんでいる場面の録画記録を、大人の側の「感受性」「構造化」「侵入性」「敵意」、子どもの側の「反応性」「関わり合い」の6次元で評価した。評価は、情緒応答性尺度の評価についてトレーニングを受けて認定を受けた評価者が担当した。母親への面接調査の結果は、KJ法を用いて質的に検討した。 令和元年度までのデータからは、発達障害を持つ子どもの親の多くは、子どもの障害特性をよく理解していて、情緒応答性の高いことが示された。しかし、少数ではあるが、子どもの障害を改善したい気持ちが強く、そのために焦って侵入的になり、子どもの自発性を尊重することが難しい親もいることが示された。発達障害の子どもの親でやや侵入的な人には、録画した動画を見せながら、具体的に発達障害音特性を持つ子どもとのかかわり方について助言すると、理解が早く、親の側の行動変容が促される可能性が示唆された。 以上の結果は、発達障害を持つ子どもとその親に対して、情緒応答性の評価を基盤にして親子の様子を記録した動画を親と一緒に見て助言する形の子育て支援の有用性を示唆するが、さらにケースの蓄積を待つ必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究への参加の募集に対して関心を持って連絡を取られる家族が限られていた、年度の最後にはコロナウイルス感染拡大が始まり、さらに直接面接を行うことが難しい状況になった。こうした状況のために、情緒応答性の評価ができて、面接調査や結果のフィードバックを行えるケースが合計4組と少なかった。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染拡大の状況を受けて、オンラインでの面接調査や自宅での録画を用いた情緒応答性の評価を用いて、研究を継続したいと考えている。また、研究への参加募集のポスターを掲示する施設を増やすことも検討した。しかし、新型コロナウイルス感染の流行が収まらないならば、研究期間の1年延長も視野に入れることも考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入した物品の値段がちょうど切りの良い数字にならず、端数が残った。今年度は、使い切るように調整したい。
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