我が国を含めて東アジアの国々は,欧米と比較すると抑うつや不安症の原因とされる自己批判傾向が強い(Arimitsu et al., 2018)。そうした国々の人々にとり,今回開発された自己批判傾向を和らげるプログラムは大変有意義であろう。また,コンパッションに注目した心理療法の多くは,その効果指標を主観的に報告によっている。本研究では,脳波や心拍数,発汗量といった生理的指標を測定しており,多側面からの新たな効果が検証できた点は,重要な学術的進歩であったと言える。最後に本研究は,社交不安症向けのプログラムのマニュアルを作成しており,今後普及も見込める点からも,社会的貢献も果たしうると考えている。
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