研究課題/領域番号 |
17K04454
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
吉畑 博代 上智大学, 言語科学研究科, 教授 (20280208)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | リハビリテーション / 失語症 / 評価法 / 質問紙 |
研究実績の概要 |
本研究では、イギリスで作成された失語症検査Comprehensive Aphasia Test(以下、CATと称す)の日本語版作成(以下、JCATと称す)を目指している。 本年度も、CAT作成者とメールを利用した情報交換を行いながら、日本の文化や社会的背景、使用語彙などを考慮して、日本の失語症者に利用可能なように、各下位検査の検討を進めた。CAT/JCATは、大きくは3部構成で、①認知機能スクリーニング検査、②言語機能検査、③失語症当事者にインタビュー形式で、失語症になっての「ここ1週間」の気持ちを伺う質問紙になっている。いずれの下位検査においても、使用する刺激語や刺激文、イラスト、検査図版へのイラストなどの配置が固まったため、本年度、予備調査を実施することができた(予備調査としては、①認知機能スクリーニング検査、②言語機能検査のみを実施した)。 予備調査の対象者は、健常者11名、失語症者8名であった。自身のみによる検分を含めて、協力いただいた言語聴覚士や医療従事者は計10名であった。予備調査内容としては、作成したJCATの実施に加えて、アンケートを行った。アンケート内容には、図版や記録用紙の使いやすさ、教示のわかりやすさ、使用する文字の大きさ、日本の失語症者を対象とした失語症検査として適切かどうか、などを含めた。これらの予備調査の結果について、現在、集計・検討中である。健常者と失語症者のJCAT結果については、分析済みである。アンケート内容には、さまざまな意見があったため、今後、さらに検討を続ける予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍での感染予防対策のため、人を対象とするデータ収集に制限があり、予備調査を実施する時期が遅れた。また学会参加や講習会参加にも、制限が生じ、情報収集を行うことが難しかった。
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今後の研究の推進方策 |
実施した予備調査では、アンケートに対して、さまざまな意見をいただいた。本調査用のJCAT図版や記録用紙などに、それらの意見を反映させるかどうかの検討を進める。検討後、本調査用のJCAT図版や記録用紙を作成して、本調査へと進む予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの感染拡大予防のため、人との接触が制限され、十分にデータ収集を行うことができず、旅費や人件費・謝金などを計画通りに使用することができなかった。 今後は、本調査実施に向けて、人件費や謝金を支出する予定である。また、データ収集のために、各種関連学会や学術講演会にも参加する計画であるが、今後の感染拡大の状況によって、適宜、判断する必要があると思われる。
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