研究課題
医療技術の発展により先天性心疾患患者の多くが成人期に達することが可能となり、小児期から成人期へのスムーズな移行が課題となっている。本研究は、このような状況を背景に、成人期に達した先天性心疾患患者の社会的自立に関して、患者のキャリア発達の提示、就労支援ツールの開発を目的に展開している。本年度は、本研究の最終課題である「調査5 研究成果としての患者への還元」について、(キャリア発達モデルに沿った)患者向け就労支援ツールの開発・作成を行った。ツールの開発・作成にあたっては、本研究においてこれまで行ってきた質問紙調査、面接調査、および専門機関への情報収集で明らかとなった次の点:1. 日本の患者は、他国と比較して就業率が低い傾向にあり、また国内においても病気を持っていない人と比較して未就業者、および非常勤勤務の割合が高いこと、2. 未就業の患者は、特に20歳代男性、および疾患重度の女性において多いこと、3. 患者への特化した就労支援が積極的に行われていない一方で、障害を有する人への就労支援は(その情報に接することに課題があるものの)比較的充実していること、4. 全く就労したことがない、または非常勤職の若年患者、および離職後の再就職が困難な患者が少なくないことを重視した。これらのことから患者への就労支援については、まず患者が自分の疾患を理解し、それに合った就労について自ら考えること、さらに利用可能な就労支援の情報に接する機会を得ることが重要であると考えた。そこで就労支援ツールとして、そのような内容を中心に、患者が気軽に読める冊子を作成した。作成にあたっては看護師、医師の協力を得た。これらの冊子は今後、協力病院の外来(特に移行期支援外来)に置く予定である。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (1件)
International Journal of Cardiology
巻: 363 ページ: 30-39
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